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「JAZZのピアノを何でもいいので」とリクエストされると、どうしてもこの人のピアノをかけずには気がすみません。
その名も「ブラッド・メルドー」
先日ビルボードライブ東京にも来日公演し、初生ブラッドのピアノに感激したばかり。
ずっとライブを聴いてみたかったのですが、ブラッド・メルドーの音はやはりクリアで透明感がありました。でも温かみがあって、ピアノの音が重なってゆく様が、本当に美しい色彩で頭の中に広がってゆきます。水分をたっぷり含んだ水彩画のよう。
でも、何かその中にはきちんとブラッド・メルドーの曲に対する解釈や思いが込められているように思います。だから、ただただ綺麗な音では終わらず、何回聴いても飽きない。
PIEGAで聴く音が、一番メルドーのピアノに近いのではないか?と思っていたのですが、当たってなくはなかったような気がいたします。
さて、そんなメルドーの中から1曲。

「It’s allright with me」
作詞・作曲共にコール・ポーターによる1953年の作品。
コール・ポーターの曲の中には本当に素敵な曲がたくさんありますが、個人的にこの曲はブラッド・メルドーの作品が一番好きです。
歌詞の内容は、超意訳ですが、「彼じゃないけど、違うんだけれど、それでもいいの」というような内容。

想像するに、この歌の主人公には忘れられない恋人がいるのですが、どうやらファニーフェイスでチャーミングなやさしい人に出会ったようなんですね。(「やさしい」とは書いていないが、流れからいってきっとそう)
それでも、主人公は忘れられない恋人のことを、何かと思い出してしまうのでしょう。
おそらく、その恋人にはもう会えないか、会うことがない。あるいは、実らない恋なのかもしれません。
そんな寂しさを抱く主人公の元に、楽しい気持ちにさせ、心癒してくれる人が現れた。
恋人のことは簡単には忘れられそうもない。でも、でもあなたの優しい存在がありがたいのよ。
これが以前のような大恋愛みたいなものじゃないかもしれないけど、私はそれでいいの(I’ts allright with me.)。
、、、、と胸の中一人歌う。
自分に対して、忘れがたい恋人に対して、そして新しい存在に対して、「It’s allright with me」と歌っている。
と、勝手な解釈をしているのです。

だから、ソニー・ロリンズのアレンジだとちょっと大胆過ぎて自分のイメージと異なり、シナトラが歌うのも好きなのですが(この場合忘れられない恋人=エヴァ・ガードナーと想像してしまいます)、どちらかというと女性サイドのイメージが強く、かといってエラのイメージとも少し違う。
繊細さと強さ、肩の力の抜け感は現代的で、かつ古風なところも持ち合わせているブラッド・メルドーの作品が、なんだかすごくしっくりきたのでした。

是非PIEGAで聴いてみて下さい。
※ちなみに、上述の訳は勝手気ままな超意訳ですので、あしからず。

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