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今度、黄金仮面が来るよ!
・・と言われてなんの話やら。

しかも、きたのは黄金ではないオレンジのサランの、お初にお目にかかるスピーカー。
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オレンジのサランネットは、張り替えたものでしたが、実はこのヒト、正真正銘「黄金仮面」でした。

こちらがその名の所以となる金色のスピーカーユニット。General Electoric 通称GEの「A1-401」。
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30cmコアキシャルユニット。紙製の振動板を持つコーン型の7cm口径のツイーターが同軸上に配されています。

パッとめをひくのが、ユニットをカバーしている金色の顔。何本もスリットが入ったこのアルミのカバーは、イコライザーの役割をしているのだそうです。中央のツイーターにももっと細かい目のカバーが付いていて、これもやはりイコライザーの役目をしているのだそうです。

少し前にLOUNGEに入荷した(あいにく売約済)アビーロードスタジオで使われたEMI dls529は、スピーカーのサランネット自体が金属を編んだもので、やはりこれがイコライザーの役割をしているとのことでした。

しかしいずれも1950年代に作られたもの。なんだか昔の人って発想が凄いなと思ってしまいます。またモノとしてもなんだか美しいではないですか。

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ネットワークがなくフルレンジ駆動のためか、音に強さ…というか、説得力があります。もちろんマグネットはアルニコ。

音がキンキンするのじゃないか?

オレンジ色のサランネットの向こうにこのようなタカラモノが収められているとは知らずに聞いていて、華やかさやシャープさ、煌めく感じはあったものの、OCTAVEのプリメインアンプV110SEで鳴らしていてキツイとかうるさいとか一切なし。

これはもしかしたらオリジナルのキャビネットにも秘密があるかもしれません。

はい、ありました。

このユニット専用に作られたキャビネットが、今回入荷したそれです。A1-406 。

ディストリビューテッドポートと呼ばれるバスレフタイプのキャビネットで小さい丸いアナが正面バッフルに多数開けられています。

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この穴、一般的なバスレフポートとは少々意味がちがうようで、やはりここでもこのバッフルがイコライザーの役目を担っているようです。ユニットのスリットの設計思想に基づいているようです。しかし凝っていますね。

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当時のカタログから。右のタイプ

このオリジナル箱はサランネットを張り替えてフルレストアしてあります。足はオリジナルよりも10cm高くしてリスニングポジションに近いようにしていますが、オリジナルの脚のサンプルがあるので、作成は可能です。

ちなみに箱はセミコーナー型で30cmユニットにしては大きめです。結構力の強いユニットなのかもしれません。

GE というブランドを知ったのは実は最近で、この間入荷したRCA Tarntable のモノラルアームに搭載されているカートリッジがGE社製のバリレラでした。お客様方が「懐かしい」「好きだった」「使っていた」と仰っていたので、「へ〜、ユウメイなのね」と思っていましたら、バリバリの大会社なのだそうです。

別冊ステレオサウンド「ヴィンテージ・スピーカー大研究(ユニット編)」から抜粋すると…

「GEというと、いわゆる家電メーカーというイメージがありますね。〜中略〜しかし、GEこそLPレコードの普及に貢献した会社で、有名なヴァリアブル・リラクタンス型のカートリッジを作ったのがGEである…」

…とのこと。しかも調べてみれば、重工業、軍需産業、航空宇宙産業、電気機器…とかなり巨大企業です。

そういう力のある企業が、結構頑張って作ったユニットとのことで、作りのユニークさ、音の明るい重厚感(?)に深く納得します。オーディオが元気の良い時代のもの。

ところで、これは相当珍しいものだそうなので、一度聴いておかれるのもよいかと。

折角カートリッジとスピーカーがあるのだから一度はこの組み合わせで鳴らしてみたいと思います。

Jensenの新しいのが入荷して、あっちを鳴らしたりこっちを鳴らしたりしているので、「聴きたい!」という方は念のため事前のご連絡をお願いします!

 

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