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木曜日、LINN JAPANのFさんから
「竹田さんは小沢健二(オザワ・ケンジ)って知ってます?」
と聞かれた。

「あーなんか新譜出したんですよね。何十年ぶりとかで(←いい加減)」
「そう、それでまぁ、その広告がこの間朝日新聞の一面に出ててですね、小沢健二のことはよく知らなかったけど、文字読むの嫌いじゃないんで読んでみたら結構好きかなって感じでした」
と、ほんのり照れながらお話しされるFさんの話を聞いて俄かに興味湧き、ネット検索すると、いましたよ、朝日新聞の写メを撮っている人が。
おかげで目を細めながら休み休み全文を読めました。
(興味を持たれた方は、「小沢健二」「朝日新聞広告」で画像検索して拡大して読むか、古新聞の中から21日の朝日新聞の朝刊を引っ張り出してください)

数行読んで、「変わってないなー」「なつかしー」と、同級生に会った感覚が湧いてきました。

その広告、まぁ面白くて、「オザケン節」ケンザイで、結構惹き込まれて、それで色々考えちゃいました。
その日だけでなく、次の日とか、次の次の日の朝とかにも。

それで、CDも買って聞いてみて、
「相変わらず下手だなぁ」と思いながら、それでもいろんなことを思ってしまった。
(ゴメンナサイ)

例えば、こんなこと
・オザケンは、なんで歌うんだろう。
あんまり歌が上手とも、声がとりわけ素敵とも思えないけど、なんで歌なんだろう。
オザケンの中に伝えたいことがあるのは確か。
今みたいな世の中で子供を持って父親になって、何かを、思うことを伝えたい時に、オザケンにとっては歌だった。
歌は、どこかで流れて思いがけないところで誰かに届くからだろうか。
歌は口伝えしていけるからだろうか。
美術部の恩師が私に「何があっても絵を続けなさい」と言う。下手でも好きなら続けるべきだと。世の中に上手い人が山ほどいて、いくらでも素敵なデザインが簡単に手に入る。描くことの意味なんか考えたら、もちろん「意味ない」けれど、それでも彼女は「続けなさい」という。
オザケンの歌を聴いていてそれを思い出す。
(ホントごめんなさい)

・オザケンは何者であるか
歌手か?作詞家か?文章家か?
「タレント」という便利な言葉があるけれど、昔は「歌手」だとか、「作曲家」だとか分野がはっきりしていた。
オザケンは、歌も歌う、作詞もする、文章も書く。
あえていうなら、プロデューサーだと思う。
ネットやTVでなく新聞の広告を使い、それも平日の。
19年ぶりのCDリリースを盛り上げる。
CDのジャケットは自分で撮影。
あの文章で、あの雰囲気で、あの歌で。
意外と策略家かも。
この間読んでいた白洲正子著「今なぜ青山二郎なのか」に好きな一文がある。そもそもこの中でも洲之内徹の文章を引用したものだけれど、青山二郎について「・・・青山二郎を装幀家と思っていたわけではない。装幀もやる誰かという感じ」とあった。
それを思い出した。
肩書きは、初めて会う人にはわかりやすいけれど、その枠に自分を収める必要はない。なりたい者にきっとなれる。

・今夜はブギー・バックについて
こんなにオザケンのことを書いているとすごくファンみたいだけれど、学生時代に聴いていたのは「今夜はブギー・バック」だけ。
この曲を今調べてみたら、1994年だった。当時私17歳。
私がよく聴いていたのはもう少し後の、リリースから数年後。
この曲の持つ、甘やかで気楽で楽しげでふわふわした雰囲気は、ちょっと現実離れしていて夢の中のようで、オザケンの調子っ外れな歌い方がそれにピッタリだったように思う。
95年には地下鉄サリン事件と阪神大震災があり、就職氷河期と言われたり、
勤めていた会社では9.11の煽りを受けてリストラにあったりした時期だったから、オザケンのこの曲を聴くと、ちょっと逃避行できたのかもしれない。

受取る側は、至極勝手なものだから、オザケンの空白の19年がどんなものかは知らないけれど、新しいCDを手にとって「オザケン節久しぶり〜」と再会を楽しんでいる。
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