music

「オペラ」って、一部の人の楽しみだと思っていました。
ものすごい固定概念で一気に言ってしまうと、太った白塗りのおばちゃん歌手とか、お腹のつき出たおじちゃん歌手とかが出てきて、高い声と低い声とのやりとりで、とにかく長くてずっと歌で、退屈。
そう思っていました。長いこと。
大好きな歌舞伎のことを考えてみれば、似たようなもので、
もっとひどいことを言われそうですが、とにかくオペラは私にとってそういう存在でしたので、
未だに、
「あ、フィガロですね」とか
「はいはい、椿姫」とか
言ってみたって、あらすじもあらすじ、超目の粗い筋しか知りません。
それでも、中の美しいアリアをシステムで聴けば胸を打たれるし、心躍ります。
でもとにかく、CDは持っていても通しでゆっくり聴くことは滅多にない。
売れっ子歌手のアリア集のいいとこ取りしか聴いていないのです。
でも、昨年末たまたま店内で流れた
モーツァルト「魔笛」の「Dies Bildnis ist Bezaubernd schoen(なんと美しい絵姿/
(肖像画を見て『なんて美しい人だ』と一目で恋に落ちる場面))」
に魅せられてから、ゆるり・のんびりとオペラへ興味がわいてきたのでした。
オペラの中でも「魔笛」は、物語じみている感じがして凄く遠い存在だったのですけれど、
この1曲を繰り返し聴いているうちに、他の曲も聴くようになって、どれもとても素敵に思えてきました。
たとえば「Wie Stark ist nicht dein Zauberton」。
美しいフルートの音色から始まるこの曲もお気に入りの1曲に。
さて、粗い筋は知っているものの、オペラのDVDを見る気には未だならず、
それならと手に取ったケネス・ブラナー監督の映画「魔笛」を鑑賞。
(映画では、時代背景を第一次世界大戦頃に置き換え)
意味分からず聴いていた前述の「Wie Stark..」は、
主人公のタミーノが魔笛を吹いてみる場面の曲と判明。
肖像画で一目惚れしたパミーナ姫の救出に向かった先で、
まだ本人に会えては居ないものの、姫の無事を確認できたその喜びで、
パミーナの母親「夜の女王」から譲り受けた「魔笛」を初めて手に取るのですが、
まさにその笛の音は「魔的」に魅力的な音色なわけで、、、
タミーノが「Wie Stark ist nicht dein Zauberton(この魔法の響きのなんて強いこと)。」と歌う。
その劇中のフルートの旋律は、前後を知らずに聴いていても、魅力的なわけなのです。
あとで知って「なるほどねぇ」と思うのです。
歌舞伎だと、名台詞を聞きたくて、大向こうが「待ってました」とやると、芯からゾクゾクしたものです。
だから全体があまりわかっていなくても、その瞬間だけを楽しみにしていた頃もありましたが、
段々その前後や脇役が大切になってきたり、役者による違いが面白かったり、
そうなると役者の細部の細やかな演技が凄く重要であることがわかってきたり、
一生の宝になるような舞台に出会うこともあります。
歌舞伎をそんな風に見続けているので、
そうかオペラもそんなに気負わなくていいのか、と思えて
またじんわり好きになってきました。
最初は小さな興味でも、どこでにょきにょき育つかわからないものです。
あっちこっちに種まきしておくと、人生退屈せずに楽しめる・・・
というか、時間が足りないよ!となりますネ。
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映画「魔的」
演奏で好きなのは、やはりヴンダーリッヒのタミーノ。
次は、オペラのDVDを見てみよう!
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