Legato EYES

最近の電車のお伴です。

吉田健一「甘酸っぱい味」
吉田健一は、吉田茂元首相の息子さん。
とはいえ、とっくの1977年に亡くなられています。
これは昭和32年に熊本新聞に連載で書かれたものらしいので、もう60年近くの月日を経ているわけです。
新聞の連載なので、1つの記事は文庫本にして約2ページ。
パラパラと開いたところを読む日もあれば、目次を見てその日興味をひいたものを読む場合もあり。ちょっと運勢占い的な感じを楽しみます。
しかし・・・驚くのは、そんなにも昔に書かれたものなのに、全然古びないこと。
新しいとは言いませんが(「新しい」はいつか古くなるし)、普遍というかなんというか、読んでいてまったく違和感を感じません。
その精神性でしょうか。
新しいものはダメで、昔のこれはよかった、とかそういうことを言っていなくて、だからでしょうか。
ちなみに、それに関しても「懐古の情」という章で少しご本人がふれています。
今の私にも当てはまり、深くうなずき、そして、今の世の中を見たらどう言うのかな、と想像したくなる、そんな本。
ブログ的に短くて、電車で立ったまま3,4駅で読める内容のライトさであって、
でも何だかどこかに心に爽やかに残る、
あるいは日々の生活で「あれって、そうだな。同じだな」と読者に自発的に気づかせる、出しゃばらない問い掛け。
最近はまっております。
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