
昨年のオーディオショーは7月で、ちょうど1年くらい前のこと。
オーディオショーのお帰りに立ち寄られる方の「PIEGA COAX411が良かった」というお話が多かったのを記憶しています。中に小音量でシベリウスを聴かれた方がいらっしゃいました。
その方は物静かな方で、聴かれた最後に「久々に感動しました!」と仰られました。
その確かな言葉に、つい「!」を付けてしまうほど、強く印象に残りました。
あれから約1年。
「PIEGAでシベリウスを聴いたものです」とご来店され、そしてこうしてご自宅へのお納めが叶いました。
ニアフィールドで聴いていらっしゃるお部屋では防音対策もされていますが、ご近所のことを考えられて、お店で聴かれていた以上に小さな音でシベリウスがかかりました。
静かなお部屋で緻密に、隅々まで眺めて豊かに広がるシベリウスの音楽、それこそPIEGA COAX411以外のどのスピーカーがこういう風に鳴らせるでしょう。
20年近く使っていらしたスピーカーとの入れ替え、私たち販売員はつい忘れがちですが、これってものすごく大きなことです。
そして、お部屋に伺ってひしひしと感じましたが、椅子の赤、壁にかけられた柚木沙弥郎の赤い絵、お客さまが大切にしているものに少し触れた気がして、その中に主役とさえ言えるスピーカーで、PIEGA COAX411を導入くださって、そこにだいぶ前にお納めしていたLP12があって、それが空間の中で調和しているのはなんだかとてつもなく嬉しいことでした。
オーディオは、その人が鳴らす音楽とその人が好きな音に実は少しずつ寄せてくるくらいには従順です。ただあまりにも、違うことを言うと反抗と感じられるくらい逆を行くものでもあります。
私はお客様のお宅で鳴ったPIEGA COAX411を聞いてそんなことを思いました。そして素直さは、現代社会において大いなる美徳の一つであるとも思います。
PIEGA COAX411は、自分を持ちながら大いなる美徳を持っているスピーカーなのです。
(竹田)