
・skating in Central Park
イタリアのジャズ・ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ。彼の率いるトリオが、イタリアの室内管弦楽団、オルケストラ・フィラルモニカ・イタリアーナと収録したこのアルバム。MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)のピアニスト、ジョン・ルイス作曲のものを中心に収録したナンバー。
オーケストラとピアノトリオの融合が、どこか懐かしいヘンリー・マンシーニとかのムードミュージック的なところもあるのですが、とりわけ繰り返し聴いてしまうのがこの「Skating in Central Park」。
「スケーティング セントラルパーク」というと、英米文学科でJ.D.サリンジャーと2年くらい付き合った身としては「ライ麦畑でつかまえて」(野崎孝訳)の、ホールデンの独り言を思い出すのです。
主人公、ホールデンの妹のフィービーが、冬になるとセントラルパークでスケートをするのが好きなんだというくだり。自分も昔は好きだんだけど。と。
ホールデンにとって、フィービーは世界で唯一純粋無垢な存在。白いリンクに彼女のスケート靴が線を描いていく感じ、あるいは昔は純粋だったはずのホールデン自身、それらは、ホールデンにとって数少ない世の中の良いものだったんじゃないかと思います。
この曲、とりわけこの演奏だと、そういうことが彷彿とされて、自分にとっての良いものや、自分の子供の頃、純粋な時代、サリンジャーを読んでいた頃なども重ねられて、なんだか懐かしい心持ちになるのでした。
・La Vie en Rose
お店にJBL Harkness縦型が入ってきました。店の仲間に「ハークネスと言えば、竹田さんのオーディオ開眼」と言われました。
そうでした。<私のオーディオ遍歴>
あれは、横型のHarknessを無理くり縦型にして足を付けたものでしたが、とにかくHarknessがすべての始まりでした。
・・と言えば、聴いてみるしかないエディット・ピアフ。
でも、なんとなく最初から「バラ色の人生」かける気になれず選んだのは「Non, je ne regrette rien」。
日本語タイトルは「水に流して」ですが、直訳は「いや、後悔はしていない」なんですよね。
歌の中で、良かったことも悪かったことも、全て捨て去って、ゼロから出発する、私は後悔していない・・
というような歌詞なので、日本語のタイトルで「水に流して」は秀逸。
Harknessで聴くピアフは、原体験みたいな感じで、やはり何とも言えないなつかしさがこみあげてきました。
おいおい、あれから20年やっとるで。と。
最後に「バラ色の人生」も聴いて、あそこからバラ色の人生が始まって、今、わたし後悔してない!
なんだかうまくまとめてしまいました。
(竹田)