ヴィンテージオーディオ

今回はUTAH社の30cmのユニットでオリジナルスピーカーを製作いたしました!

UTAHの30cmのユニットはメカニカル3way。
ウーファーにサブコーンを付けることによりミッドレベルの音域を出せるようにしています。
ウーファーは逆カーブドコーンで、さらに布製の逆ロールエッジで反発力を強めるため、ハイスピードなユニットです。
現在の技術をもってしても、このユニットを作るのは大変難しいこと!!

完成への道のりをPOINTごとにご紹介させていただきます。

【POINT 1】 スタイル
現在のライフスタイルにもマッチさせるために、スタイリッシュな縦長のエンクロージャーを採用しました。

IMG_8459IMG_8455IMG_8467

【POINT 2】 吸音
まずはユニットをエンクロージャーに配置しそのまま鳴らすと、中央の補強の板が、ちょうど2つのユニットの中心にあるため、
音(特に低域)を打ち消し合い、歪みが生まれ音の繋がりが悪くなります。

でもエンクロージャーの補強(特に背面)のためには必要な中心板!
そこで、吸音材をその補強板に巻き込むように施すことによって、中心板の存在を消してしまい、中のレゾナンスを解消します。

IMG_8546

同年代ほどのヴィンテージアンプで鳴らすにはなんら問題ない(ですが本領も発揮できない)のですが…、
現代のハイパワーでレンジの広いアンプで鳴らすにはこのエンクロージャーでは少し容積が小さいため、
ここは実際に音を聴きながら、中心板以外の場所にも吸音材を配置します。

吸音材を入れては閉め、音を聴いての繰り返しで、一番時間がかかる作業ですが、この作業が一番大事なポイントなのです。

IMG_8548

【POINT 3】吸音材
吸音材は、はじめはウール100の素材(PARC AUDIO DCP-A100 ウール100)を使用していましたが、
ポリ100(RIT SELECT RIT-DM003/PW ポリ100)のほうが音の抜けが良く、全てポリ100を使用。

IMG_8510

【POINT 4】ツイ-ター選び
UTAHだけでも資料上、高域は18kHzまで上は出ていますが、現在のレンジの広いアンプに合わせるため、
更には、現代とヴィンテージの良いところを凝縮したスピーカーを作るためツイーターを設置。
次回のオリジナルスピーカーの時はエンクロージャーの中に入れる予定ですが、今回はスピーカーの上に置いての
実験となります。

まずはヴィンテージで定評のあるJensen E-100のツイーターを試しました。もちろんウエスタンのオイルコンデンサー。

結果は、クオリティーは高いもののまだ高域が足らない…。
そこで「Jensenのツイ-ターに足す」というかたちで3つのメーカーのツイーターを用意。
比較試聴をしました。

IMG_8785

① SB Acoustics SB25STAC(2~35kHz)
高音が伸び、ヌケの良い明るい音に。ただ、少々荒く、クオリティ感が欲しい。
② SEAS E0036-06 T25C0003(2~25kHz)
SB Acousticと較べて、クオリティ感が高く、滑らかに伸びる高音域。ただ、少し音調がおとなしくなる。
③ SCAN SPEAK R2904/700000(500~40kHz)
リアリティーと質感、そして音の広がりが他と比べて圧倒的に良い!

ということで、SCAN SPEAK R2904/700000のツイーターに決定!

IMG_8806

あまりのクオリティーの高さにJensenのツイーターがいらなくなりました。

【POINT 5】コンデンサー
ツイーターが決まったら、繋がりを調整するために、コンデンサーを使い、ツイーターのローカットの周波数を調整。
帯域がかぶりすぎると、ボーカルがこもってしまうし、逆だと繋がりが悪くなる…。

ネットワーク設計の計算式をフル活用し、絶妙な帯域を探ります。この作業が一番楽しいのです♪♪
今回のUTAHの場合、SCAN SPEAKは17kHzから上を受け持っています。

次にコンデンサーの種類。
最初は汎用の一般コンデンサーを試したところ、種類でかなり違いがでるため、オーディオグレードのコンデンサーを用意。
ここでも実験開始!

IMG_8798

① Jantzen Audio Z-standard  おとなしいけどナチュラル 。
② Jantzen Audio Z-superior   ナチュラルで抜けが良く音場が広い。
③ Jantzen Audio Z-silver   圧倒的なクオリティー。高貴な音 。
④ MUNDORF SUPREME SILVER/GOLD   リアリティーがあり伸びがあるが少し華やか過ぎる。

全員一致で③のJantzen Audio Z-silver コンデンサーに決定。

*************

このような作業によって、今までになく音楽的で素晴らしいスピーカーが完成いたしました。
ヴィンテージスピーカーならではのハイスピード且つ厚みのある中低域、加えて、現代の音楽に合わせた高域の伸び…!
最強のスピーカーです。

ただいま店頭では、AKURATE DS+OCTAVE V70SEでドライブ中。
ぜひ一度お聴きくださいませ。

STEREO誌の広告にも掲載しています!
こちらから>>>STEREO 2011.11

20121112152953556

 

コメントは利用できません。