全く職種の違う世界からこの世界に入って2年半がたちました。
この掲示板でいつまでも何度も言いますが、本当に「初心者」。
始めの半年はひどいもので、音楽への興味はあったもののオーディオへの興味は今にしてみるとほとんどなかったと言ってもよいかもしれません。(スミマセン)
この世界にはまってしまった「きっかけ」は数え切れないくらいです。
今日はそのうちの2つをお話します。
私事ですが、お付き合い下さいませ。
お店に入って半年ほどたったある日、当店2Fの広い部屋で、お客様のところから下取りしたJBLの「ハークネス」とJEFF ROWLANDの「シナジー」でピアフの「バラ色の人生」を鳴らすのを耳にしました。
未だ訪れたことのないパリの風がスピーカーから吹いたことにどれだけ驚いたことか。
今、当店の2Fは改装中で以前の姿は跡形もなくなってしまいましたが、その時の音は確かに覚えています。人間の記憶って不思議です。
その頃同じくして、SONUS FABERの「クレモナ」が店頭に訪れました。
イタリアが(僅差で)自国の次に好きな私は、「イタリアのスピーカーであること」や「製品名にヴァイオリンの名機の名前が付けられているストーリー性」からこのメーカーにとても興味を持ちました。
しかしながら、音に関しては正直ピンときませんでした。
今考えると、おそらく合わせるアンプや鳴らし方に愛が足りなかったのかもしれません。
イタリアのスピーカーらしいです。
英語で話しかける間は打ち解けてくれませんが、片言でもイタリア語で話しかけると突然ファミリーの一員にしてくれて、一生懸命親切にしてくれるサービス精神の旺盛さ。
見た目は格好いいのにどことなく3枚目なイタリア人は、かえって温かみや人間らしさを感じさせます。
話を戻すと、Sonus Faberというメーカーに興味は持ちつつ始めの出会いではよくわからなかったのです。
Sonus Faberとの再会は昨年のオーディオショー。
代理店各社のブースで様々なシステムが音楽を奏でる国際フォーラムで、心底ハッとしたのは、改めて聴いたLINNのAKURATE242とSonus Faberの「ストラディ・バリ」でした。
後で価格にも驚きましたが、ここでも「ストラディ・バリ」の音楽が記憶に刻まれました。
昨日待ちに待ったSonus Faberの「ガルネリメメント」が店頭にやってきて、様々なアンプで聴いてみました。
やっと会えた恋人がごとく、頭がカッカしている私は、調整前もよく聴こえてしまいオーディオ屋さんの店員としては使い物にならない状態でしたが、色々聞き比べていくうちどうしてよく聴こえてしまうかが少し分かったような気がします。
再生はそこまで緻密ではないように思いますが、色彩の豊かさでまるで絵画を見ているような気になります。水彩画のような油絵。
イタリアをどうしてもオーバーラップさせてしまいますが、やはりイタリアという国のキャラクターを強く持っているようにも感じます。
(OCTAVEのMRE130と合う!と思う)
どうであれ、ガルネリは私にまた新たな「きっかけ」を作ってくれたように思います。
人もモノも全て出会いや物語がありますよね。一つでも沢山語れるような物語が増えていくといいなと思うと同時に、色々な物語を聞かせてもらえたらと思います。
・・・と、本日また一つ年をとって感傷的な私です。
(竹田)