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きょうは、わたしのおんがくのはなし。


クラシック音楽は目下「ばらの騎士」に執心中。
10月のウィーン国立歌劇場の公演に向けて聴くというより、つまみ聞きでつい聴いてしまう。

あの、2幕目の最後、オックス男爵のワルツは、何度聞いても輝かしい。
うん、美しいより「輝かしい」が合っていると思う。
音もメロディも輝いている。
話の顛末を知っている側から見れば、このあとオックス男爵を待っているのは、道化師の役回り。

それなのに、こんなに輝きに満ちていて、またそれを万感の思いで聴く。そこに男爵に対しての嘲笑的な気分は全くなくて、このいっときただただ音楽で胸がいっぱいになる。それってなんなんだろうな、とおもう。下品で偉そうで自己中心的などうしようもないやつとして描かれる男爵が最高潮に悦に入っている、そのシーンで流れるこれがなんでこんなに魅力的なんだろうか。

建前のない、飾らない人間の本質をついているからなのかなぁ。そういえば、ワーグナーの音楽に惹かれる理由の一つにそれがある。

バティスト・トロティニョンという、フランス人JAZZピアニストのアルバム。全然知らない人で、誰かがかけたのを耳にした時に「あれ、メロディ・ガルドーの声だ。」と思って、手をとめたアルバム。

声というのは、顔と同じくらいそのひとそのものだと思う。これは笑い話だけれど、祖父を知る人が、とこかで叔父の笑い声が聞こえてきて、苗字を確認したところ祖父との血縁関係に確信を持って話しかけたということがあった。骨格もあると思うけれど、声というのは不思議。そして、見知った声が知らない歌を歌っていると、急に興味が湧く。このJAZZピアニストのSONG SONG SONGというアルバムで、やはりメロディ・ガルドーはこのアルバムの中で1曲歌っていました。

他にいいなと思ったのが「Du bist die Ruh」。これはドイツ語。最近Duolingoというアプリでドイツ語を毎日細々やっているので、何が定冠詞かとか、Du bist は、You areだとか、そんな簡単なことでもわかると嬉しい。これは、「あなたは落ち着いている」とか、「あなたは冷静」とか、そんな意味。歌の中身はわからないけれど、歌曲のような静かな歌。

私はどうも「冷静」という言葉に弱い。特に情熱付きの「冷静」に。パッションはふんだんに外へ出せたらそれは良いのだけれど、歳も歳だし落ち着きがほしい。でも何にも心が動かされないようなのは冷静でなくて冷徹とかで、、。冷たくて静かって、きっと熱が冷めても本質を見てる感じがするのです。

この歌は何度もブログで登場するけれど、今日もいい歌だったなぁ。

もう取り返しのつかなくなったことを「よくあることの一つ」と言って自分を言い聞かせる内容で、冒頭の短いストリングスは、まわりから「まぁまあ。もう仕方ないよ」と言い聞かされているよう。その中にサックス?がプワ〜っと入る、これは参っている本人。後ろの方でずっとおしゃべりするピアノは、バーテンなのか、彼を振った彼女の友達か。

ところで、「これはよくあることの一つだ」と思って、何かを諦めたり、固執するのをやめることも、時には必要だなとぼんやり思う。ジンセイ思うようにはいかないもの。この歌のように少し見栄を張って、少し肩を落として、口ずさみながら、自分の気持ちをクールダウンさせるのも良いと思われる。

ところで最近48歳になりました。48というと12年を4回やったということで、これから新しい12年が始まる。巳年だから脱皮した感じです。

誕生日の朝、店でLINN 119のセッティングをしようと向き合って、あ、そうだ48で初めて聴く曲か、、と元々入ってたプレイリストの中から選んだのは、アート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズの「Are you Real?」でした。

一曲目のMoanin’が一番有名だけれど、この曲の明るい切なさが好き。それに「あんたは本物か?」と聞かれている。日本語は面白いから「あんたは実在か?」とすればまたちょっと意味が違う。

私は生きている「今」しか実在してない。生身の人間だよ。本物?なりたいねぇ、ホンモノといえるようなニンゲンに!

この儚ささえ感じる切ないメロディ、でも明るく力強い、そしてJAZZとしては短い、でも短過ぎない5分。最後まで飽きさせないこの曲。なあんかいい。

(竹田)

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