ヴィンテージオーディオ

今回はアメリカン・タンノイ Windsor GRFをOCTAVEプリメインアンプで聴き比べてみました。

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その趣旨は、ヴィンテージスピーカーをLINN DS+OCTAVEで鳴らす!!
当店の6階には選りすぐりのヴィンテージスピーカーがありますが、今回はアメリカン・タンノイWindsor GRFに注目をしてみました。

Windsor GRFは1968年頃から73年くらいまで作られておりましたが、今回入荷したのは1969年頃の製品になり、初期に作られたものにしては素晴らしく綺麗でベストコンディションです。
サランネットも当時のオリジナルそのもので特別な手法でクリーニングをして再度、張り込みました。
背面にはステッカ-もありシリアルナンバーも明記しており完全オリジナルエンクロージャーでTANNOY ENGLANDと書かれていますが、アメリカン・タンノイでも「ENGLAND」と記載されているのは商標登録の関係です。

アメリカン・タンノイは1954年にNYで設立され、単なる製品の輸入販売目的ではなく独自の製品開発もしていました。
以前店に入荷したものに、アメリカン・タンノイAutograph StandardやRectanglar GRFなどもあります。
Autograph Standardなどは、大変希少で日本にも3台ほどしかありません

Windsor GRFはスタンダードなGRFと比べてエンクロージャーの仕上げがより良質になっています。
突板は厚めのウォールナット材で丹念にオイルフィニッシュが施されています。
天板も無垢材を使用して、グリルもそれに似合う格子状でヨーロッパの家具調仕上げに。
アメリカン・タンノイのオリジナル製品はレクタンギュラー型でこのようなゴージャスな家具調の仕上げの製品は、Tudor AutographとWindsor GRFの2機種しかありませんでした。
しかもこのモデルが販売されたのは1968年頃からで、1974年には残念ながらアメリカン・タンノイは閉鎖されたので、製作期間も短く世に出た製品も英国タンノイに比べるとずっと少ないのです。

ユニットは勿論モニターゴールドが入っています。
このモニターゴールドも素晴らしく状態の良いものです。

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再生機はLINN AKURATE DSK2とOCTAVEのプリメインアンプで試聴します。
OCTAVEのプリメインアンプは、自社設計のトランスを使用していて、ハイスピードでドライブ力が豊かなうえ音楽性があります。
全般的にこの年代のヴィンテージスピーカーは大出力を入れる必要がありません。
逆にユニットをしっかりと制御するドライブ力の高いアンプの方が、これらのスピーカーの良さを引き出します。
そのため当店ではOCTAVEのプリメインアンプを一押しで使用しています。

今回はOCTAVE の中ではエントリ-モデルに位置するV40SE(プリメインアンプ)を使いました。
真空管EL34と6550のパターン、それと同社プリメインアンプのV80で聴き比べることにしました。

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なぜOCTAVEプリメインアンプでの聴き比べにしたかといいますと、以前、英国オリジナルのTANNOY Autographを鳴らした際、V40SE EL34でしっかりとドライブして、説得力のある鳴り方で、アンプとのマッチングがピッタリと合ったという印象があるからなのです。

そしてアメリカン・タンノイAutograph Standardの場合は、同じOCTAVEのV80で鳴らすと深みがあり豊かな低域の量感がでて凄く良かったのでした。

同じTANNOYでもアメリカとイギリスでキャビネットの質が異なるのでこういう違いが出るのだということを知りました。

今まで当店でも様々なヴィンテージスピーカーを鳴らしてきましたが、OCTAVEはどんな場合でも完璧にドライブして、スピーカーの魅力を引き出します。

特に英国オリジナルTANNOYはV40SE、
アメリカン・タンノイ系はV80、
そしてJBL系はV70SE‥
この組み合わせの相性が良いです。

Windsor GRFはアメリカン・タンノイになるのですが、明るく素直な響きがあり低域がハイスピードなので、V40SEでベストマッチであればコストパフォーマンスがよい組み合わせになるなと、各機をチョイスしました。

それでは本題の試聴体験に参ります。
プリメインアンプは
V40SE EL34仕様
→V40SE 6550仕様
→V80の順番で試聴しました。

先ずはCANTATE DOMINOを聴いてみました。
V40SE EL34で空気感と奥行きが見事に表現されました。
オルガンは低域の漂いで、声、合唱が交わりあった際の美しく伸びやかで豊かに表現されました。
これでいいじゃん、V40SE EL34でも十分だ!!と思いました。

しかし続いて6550に真空管を変えてみると、EL34に比べてオルガンの低域の厚みが増し、合唱は伸びやかになり声の質感が上がり音の全体的な高さも出ました。
断然EL34より6550は音の深みがあり、ゆとりも出ます。
空間感も見事に表現しておりました。
6550で聴いてみるとEL34だと少し薄味に聴こえます。

続いてV80で聴いてみました。
スピーカーをドライブさせることはずば抜けていまして音の迫力は圧倒的ですが音像が少し大きくなってしまいます。
特に声はV40SEの6550の方がリアルで聴いいて気持ちが良く、全体的に響きが滑らかでナチュラルでした。
次に古めのJAZZを、Lionel Hampton All StarsのStardustを聴いたのですが、冒頭のヴィブラフォンの響き、音の消え際が明瞭に分かったのは、やはりV40SE 6550でした。
古い録音ですが音楽性豊かに鳴らし聴いていて楽しくなります。
続いて最近の録音を、女性ボーカルのMelody GardotのAmaliaを聴いてみました。
これまた、声の生々しさや、音場の奥行き感はV40SE 6550が一番よく表現していました。

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ヴィンテージスピーカーだから、古い録音やJAZZが良い・・・のはもちろんですが、現代のボーカルも素晴らしくリアルで定位感も抜群です。

更に試聴は続いていきV40SE 6550で聴くYo-Yo-Maのピアソラは、リズミカルで軽快に鳴りアコーディオンとチェロの響きが明るく素直に聴こえます。
Keith JarrettのBlame it on my youthはライブ感、音場の奥行きが出て、トリオのセッションが見事なまでに再現されました。

OCTAVE V40SE 6550でWindsor GRFを暫く(何度も)聴いて改めて感じたのは、低域の反応が早いためリズミカルにキレ味よく、ジャンルを問わず楽しめるということでした。
クラッシクは勿論、JAZZ、ボーカル、Popsと、ただただ音楽に没頭できて、出る言葉は一言につきます。「あーいい音だ」

聴き終えてみますと、V40SE(EL34仕様)、V80、それぞれの良さはあるのですが、全体的に音楽性が豊かで空気感と説得力があったのはV40SE(6550仕様)でした。
アメリカン・タンノイ Windsor GRFとはOCTAVE V40SE(6550仕様)ベストマッチングです。
次から次と聴いている間に、私の中で目覚めたのは物欲‥このスピーカー欲しい・・・

様々なジャンルをこんなに楽しめて聴けるなら・・・しかも自分が生まれた年と同じくらいに造られたスピーカーです。

只今、常時ご試聴可能です。

 

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