先日新しくきたLINN MAJIK LP12のアームを触っていて、音を聴いた先輩スタッフから「これ、ちょっとインサイドフォースキャンセラかかり過ぎじゃない?」と、調整のコツを教えてもらったので、こっそり(?)ご案内。
インサイドフォースキャンセラは、通常、針が内周へ向かってしまう力(インサイドフォース)をゼロにする(キャンセル)ために、外周へ引っ張るためのもの。
大抵針圧と同じに設定します。
LINNのMMカートリッジADIKTは針圧が1.75なので、インサイドフォースキャンセラも1.75に合わせるのですが、これがかかり過ぎだったとのこと。
ちょっと音を聴いてみてと言われて、調整をした音を聴いたら、ぜ、ぜ、ぜ、全然違う!!
しかし、標準数値に合わせたのに何でわかるんですか、何をやったんですかと聞くと、針先の落ちる音とアームの水平方向の動きとのこと。
わかりやすいのは針先の落ちる音で、左右スピーカーから静かにプツッと落ちるときは調整がうまくいっているとき。
かかり過ぎているときは、ブブっとか、左右に針先が揺れるとのこと。
つまり、針のインサイドフォースがキャンセルされているときは、垂直に落ちますが、どちらかにかかり過ぎていると、レコードの溝の間で左右に振れるというわけですね。
この部分も気温や湿度によって変わるので、必ずしも数値通りではなく、その前後の微妙な調整で、音は微妙どころでなく違う。
コツのもう一つに水平方向のアームの動き。これは微妙な違いで、慣れが必要なのですが、水平方向にアームを前後させて何の引っ掛かりも感じられないのがベスト。
引っかかりといっても、本当に微妙で、「言われてみれば」という感じ。これは、訓練が必要そう。
ちなみに、スタティック型のAKITOアームなどは、割とメモリに忠実なのだけれど、MAJIK LP12の新しいアームや、ダイナミック型のEKOS SEは、この手の感覚で結構イケるとのこと。
ところで、これは、アームの高さ、ゼロバランス、などがきちんと調整されている上での話。
この手の感覚とか耳の感覚での調整それ自体が「アナログ」なんですよね。アナログ道はまだまだ深くて底が見えません…。
(竹田)