「エージング」という言葉、日本では美容や健康に「アンチエイジング」なんて使ったりして、「老化」みたいな気分に受け取りがちですが、オーディオ愛好家の皆様にならきっと慣れ親しんだ言葉ですよね。
スピーカーの「エージング」だけでなく、アンプやスピーカーにも「エージング」というのがあります。
昨夕ご来店されたY様、本店でLINN KLIMAX DS/Kをご導入されてしばらくぶりのご来店でした。
その後いかがですか、と伺うと、
「ある日突然よくなったんですよ!」とご夫妻。
最初はKLIMAXを入れた!という気分的な高揚(効用?)もあって、もちろんAKURATEの時と違うのは実感していたけど、こんな感じかなーと思っていたら、きゅう-にガラッと変わったと。
お店でも、例えばLINNのKIKOなどを鳴らしていて、「あれ、なんかこんなに鳴っていたっけ!?」という日があります。
毎日聴いていてもわかるくらい、グッとよく鳴るときがあるのです。
一般的に、エージングは1カ月、3か月、半年、1年・・・と言いますが、
鳴らしたての時と、1,2日鳴らした後の音ではやっぱり違って、エージングがきいてくると伸びやかになったり、滑らかになったり、いい意味で柔らかくなったり、音圧が高くなったり・・・。
考えても見れば、迷路だって1回目はものすごく時間がかかりますが、2回目以降はスルッといきます。
オーディオの回路が迷路というわけではないですが、山に人が登ることで道が出来るように、オーディオの回路も止めどなく信号が流れていくうち基板が焼けて、なおかつ繋いだアンプやスピーカー、ケーブルとの接続も馴染んでいくと、どんどんよくなります。
そうして、その人それぞれの音となり、「音は人なり」となっていくのでしょう。
「エージング」=年を重ねること。
歳を重ね、その人の人生がそこにある。
当たり前のことですが、「アンチエイジング」でなく、素敵に歳を重ねたいものです。
後記 書いているうちに話の着地点が変わって、挿絵がなんか雰囲気違いますね。