✔発売当初、母が読み「嫌な男なのよ~。主人公が!」と井戸端会議で友人と話していた。
✔読んだ友人から「エロいよ」と聞いた。
✔村上春樹の文章がクドいと誰かが言っていた。
上記の事柄から、なぜか避けて通っていた「ノルウェイの森」。
「嫌な男が出るエロいクドイ小説」は赤と緑の装丁で、クリスマスというよりはトーンが深く、とてつもなく大人の匂いがする本を、私は手に取れずにおりました。
その後、反芻しているうちに、「ノルウェイ・・・」は自分が読む本ではないと、村上春樹は自分とはきっと相容れない(?)人なんだという思い違いへと記憶は展開。
そんな大きな勘違いから、「ノルウェイの森」を手にしたのは30を超えたある冬の日。
ほとんど「衝撃」の一言。
主人公の生々しさを感じて、何よりこれが87年に書かれたということに驚いてしまいました。
なんで私20代の時にこれを読まなかった!?と、自分を悔やみ、母をちょっと恨み・・・。
主人公のワタナベにシンパシーを感じ、自分と物凄く近い人間なんじゃないか、なんでこんなに私が考えるようにワタナベも考えるのか。
緑の気持ちも言いたいこともすごくよく分かる。
でもワタナベのことをわかってあげて、と自分のことのように思ったり、
客観的に文章を楽しむというより、水を飲むように自分の日記を読むように文書が入ってくるので、読んだ後疲れてしまいました。放心。
直子、キズキ、れいこさん、永沢さん、ハツミさん、、、出てくる登場人物の全てが、どこかで会ったような、もしくは友人の友人にいるような、とにかく生きていて、電話をかけたら出るんじゃないかというくらいの実在感で、とにかくどっぷりつかってしまったのです。
(自分はワタナベと同じ過ぎるように感じる、と友人に漏らしたら「皆通る道」というようなことを言われてしまいました)
この本を読んで、ある部分変わったこともあります。
妙にこだわっていたことにこだわらなくなったというか・・・。
全て大したことではない、が、全てが繋がっているから、言葉とか見た目とかだけでは駄目なんだ、とこの年にして心底感じました。
なんでしょう、この本のパワー。
(なんでしょう、この勢いのみの文章)
感じていることを思うように書けないでなんだか嫌ですが、余裕をかましていられない本でした。
さて、待望の映画はどうなることなんでしょう。
でも松山ケンイチはワタナベにはまり役だと思うな~。映画楽しみです。
後記 何でも、全世界配給の日本映画の主題歌に、ビートルズの楽曲が使われるのは初めてなのだとか。
許可が下りないらしいです。
後記2)ちなみに母は、最近読み直したらあまりにいい小説でびっくりした、と母子で村上小説にハマり中。
(竹田)