歌には3つの要素があると思います。
詞、メロディ、歌い手
その3つがそろった時、何か次元を超えて心が揺さぶられる。
そんなことってないでしょうか。
最近の私にとってのそんな揺さぶられる出会いは、
酒井俊さんが歌う「ヨイトマケの唄」でした。
三輪明宏が丸山明宏時代に作詞・作曲をした歌で、調べてみれば「曰くつき」、というか様々な背景があった曲ということがわかりました。
三輪さんが同性愛者であることをカミングアウトしてから人気が低迷していた中のヒットで、人気が返り咲いた曲であること。
リリース後まもなく「ヨイトマケ」や「土方」など放送禁止用語を含む歌として民法では放送されなくなったこと。
その30年近く後のTV局からの理不尽な対応で三輪さんは最近まで放送で歌うことがなかったこと。
・・・そして、この歌は三輪さんが子供のころに一緒に育った友人の母のことを書いた歌だということ。
それで合点がゆきました。
この詞のひとつひとつの言葉がどれも大切で、どれをなくしてもだめ。
この言葉たち全部がこの「ヨイトマケの唄」という世界を作っている。
(詞とは違うと言っても、私の文章の、なんて無駄の多いこと!)
詞とメロディは既に完璧な世界を作っていました。
こんなに書いておきながら三輪さんの「ヨイトマケ」はまだ聴いたことがない・・・。
ですが、酒井俊さんの「ヨイトマケ」は、最近のただ昔のヒット曲をカバーしているだけみたいなものではなくて、この方の歌になっているんです。
原曲がこうだから、私ならこう歌ってみよう、とかそういうんでなくて、多分酒井さんの心をこの歌が揺さぶったんじゃないでしょうか。
この歌と正面から向き合っている。
なんだか色々言っても、この歌の素晴らしさは私のボキャブラリー貧困な言葉ではどうにもなりそうもありません。
私は、毎日のセッティングの際、最後に聴いてこの歌を聴いて何回も涙を流してしまいました。(全然セッティングにならないと思いますでしょう。この歌への思いが強くて、細かいところがどうの、と聴けないのは確かです。が、泣けるか泣けないかが基準です。)
そして、歌っていいなぁ、こんな歌と出会えて人生っていいなぁ、と毎日そんなこと思っています。
※写真は、酒井俊「夢の名前」ヨイトマケの唄の他、愛燦々などが収録されています。
(竹田)