とある日、八ヶ岳のお客様よりお電話が。
「やっぱり、昇圧トランスつなげた方がパワー感があるよ!」
・・・・・・遡ること数日前。
お求めいただいたTRIGONのフォノイコライザー「ヴァンガード」を、まずはお送りでお客様ご自身に接続して頂く。
その後、その他ご要望のデモやセッティングも含め、ご自宅へお伺い。
すると、THORENSのアナログプレーヤーとヴァンガードの間に、昇圧トランスが。
ヴァンガードはMM設定になっていたため問題はなかったけれど、ヴァンガードはお使いのカートリッジJUBILEEに合わせた設定ができるので、本来であれば昇圧トランスは必要なし。
私のご説明不足と、気遣いのなさをお詫びし、トランスを外した音を聴いて頂く。
このほうがよかった!と安易な比較で帰ってきた数日後、お客様は、もう一度色々なレコードを聴いてみたいと思われ、MM設定に戻した上で昇圧トランスと接続したものと、VANGUARDのジュビリ設定にしたものとご比較されたのでした。その結果の電話が一番上のご感想。
TRIGONを信じる私は「そんなはずはない」と首をかしげ、実際聴いているお客様は「竹田の耳がおかしいんじゃないか」と首をかしげ。
でも、私の浅はかな知識よりお客様の仰ることを信じることが解決の道なので、数日前にお伺いしたオーディオルームの情景を思い起こすこと、20秒。
「しまった!!!」
「大変申し訳ありません!!お願いがあります。」
今、昇圧トランスと、ヴァンガードと、OCTAVEのブラックボックスが、10cmを空かずに3つ並んでいるのを、場所を変えていただきたい。
ヴァンガードから、トランスとブラックボックスを出来るだけ遠くに離してください。
そのうえでもう一度比較してみてください。
その数時間後に、全然違ったよ!良くなった!トランスは必要ない。とのお電話。
それもそのはず、トランスの倉庫のようなブラックボックスと昇圧トランスの間に挟まれ磁界の渦のまっただ中におかれたヴァンガード。
微少信号を扱うフォノイコライザーの威力を発揮させていなかったのです。
なんていう営業でしょう!!!バカバカ、私。
ごめんなさい、M様。ごめんなさい、TRIGONの皆さま。
お伺いした時に、「気づけよ!!(ここだけ文字フォント20)」
もう、本当にこんな駄目な販売員にお付き合い頂き、育てて頂き、心から感謝をいたしております。
後日談として・・・
昇圧トランスを入れない方が鮮度高く、クリアでしたがトランスを入れた時のパワー感に対しては少し名残惜しく感じておられたM様は、今はヴァンガード専用強化電源「ヴォルケーノ」を導入され、音質・パワー感共にご満足頂いているとのこと。
TRIGONを信じたのは正しかった。
自分を信じることは当面なし!
(竹田)