お客様と向田邦子の話に。つい先ごろTVでドキュメンタリーか何かの放送があったそうで、素敵な方だったねぇ、としみじみお話しされていました。ちらっとネットで調べたら、今年が没後40年なのだそうです。
出先で、本を持たないで出たのが落ち着かなくて、立ち寄った本屋で手に取ったのが「父の詫び状」。
表参道交差点角にある山陽堂書店のお会計で、「向田邦子さんいいですよねぇ。うちのお客様だったんですよ。私はお見かけしたことしかないのですけど、素敵な方でした」と年配のお姉さま。(私もおばちゃんだからね)
この方のエッセイは読みやすくて、中学生とか高校生の頃、20代になってからも、折々に手に取りましたが、今回はだいぶご無沙汰でした。
これだって実家のどこかにあるだろうけれど、すっかり黄色く焼けているし、それこそ、先日出かけた石岡瑛子展で、女史が手がけた角川書店の広告では「文庫本は読み終わったら捨てる」くらいの気軽さをうたっていたことも記憶に新しく、、
色々なたわいも無い情報の積み重ねから、ごく自然に手元にきたこの本。入った喫茶店で読み始めたら、泣けるわ笑えるわ。こんなによかったかな、ああ、私も歳をとったんだな。と。
向田邦子とそのお父さんの関係に、自分と父のことが重なったり離れたり。父が歳とったことの寂しさもちょっと引き出されたり、、。でも向田邦子の文章、エッセイは、どれを読んでも泣き笑いのようになる。ジメジメ、さめざめとすることがあまり無いのです。この方は本当に人間が好きだったのだなぁと思います。
昨今話題にのぼる、女性の、男性の、という話には、生きていたらどんな反応を示されたろう。いずれにしても、きっとカラッとしていらしたろうな。
先人には本当に素敵な方がたくさん居て、そういう人の文章や考えに触れる時間はしあわせなひととき。
(竹田)