先日発売のレコード芸術を手にして興味深かったこと一つ。
ピアノ特集だったので、興味深いことは多々ありましたが、中でも内田光子さんのインタビューに「へぇ」が10へぇくらいありました。
(古い・・・)
「内田光子」さんというピアニストに私が抱いていたイメージは、
「お化けのような感じで舞台に現れ、何かにとりつかれているように
演奏する」(ごめんなさい)というイメージで、「生」とか「動」とかの
イメージがあまりありませんでした。
(べートーヴェンのピアノソナタのグレー基調のジャケットで、イッセイミヤケの服を纏いムンクの叫びのようなポーズをとっている内田光子さんが、私のイメージの98%を占めていた)
レコード芸術巻頭のインタビューで、今までで初めてと言っていいくらい「生きている」印象を持ちました。思えば、第一線で活躍しているピアニストなんだから当たり前のような気もしますが、それほど印象が変わりました。
インタビューの内容についてここであまり書くことができませんが、会話の中で「年をとるほど自由になる」というくだりがありました。
実は先日某輸入代理店の代表の方とお話をさせて頂いていたら、丁度同じようなことを仰っていました。
「若いころより、今の方が色んな事が出来る。」
何か「技を習得した」という意味でなく、精神的な面で、若いころよりも自由に自分を出したり、振る舞うことが出来る、というお話でした。
あらゆる経験や失敗、喜びや悲しみを体験して、人は強くなっていく生き物。
また別の機会に、別の会社の部長さんとお話ししていたら「時間が大切」「時間が物事を緩やかに運んでくれる」というような話をされました。
川の流れが尖った石を丸くするように、時間が解決したり、助けてくれることが多々ある、と。
年をとるとともに、時間のありがたみや、様々な経験の末の自由さを獲得して、人は自由になっていくのか、と。
内田光子さんのように、時間を超越したように見えた人からそういう言葉が出るのが、すごく新鮮で、しばらくラックの奥にしまったCDを出してみる週末でございました。
(竹田)