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新富町に近い銀座に、一冊だけの本を扱うという森岡書店というお店があります。
書店という名のギャラリーのような存在で、一冊の本とそれにまつわるモノを一定の期間展示する、小さな小さなお店です。
私の前職の先輩が、フォトグラファーになられ、時々彼女が携わった本を森岡書店で展示しているのは知っていたのですが、今回も展示していたので今日行ってきました。
今回の展示は、「かごを編む」という本とともにカゴが展示されるというもの。2月4日からの会期で明日9日まで。
あのですね、「カゴを編む」と言われて、単にモノ、言っても民藝、、くらいに思ってたのです。浅はかです。
このカゴ一つとっても、その背景にものすごく土地に根付いた文化と歴史があって、この本はどちらかというと、かご作りとか編み方とかではなく、かごを編みながら命を編んでいるような、ちょっと大袈裟ですが、要はそうなのです。
これは鳥越のすず竹細工といって、岩手県鳥越の竹細工。ただ、竹にもいろいろな種類があって、この地域で取れるスズタケを材料にしています。
そのしなやかさ、やわらかさ、あたたかさ、強さ。
これはこの地域の、鳥越観音という信仰に基づくところもあると、本にあります。
更には縄文の時代から作られてきたことも、出土品からわかったり、、、。
そして、材料のスズタケが2018年くらいから花が咲いて枯れてしまい取れにくくなっていること。温暖化?とも違うようで、このスズタケにはそういう周期が120年ごとに訪れるらしいが、120年見てる人がいないのでなかなか解明されないのだとか。それなのに延々と受け継がれている技術。
「かごを編む」というタイトルの向こうにあまりにもたくさんの背景があり、とても面白い、ミステリアスな一冊で、その竹細工にも実際触れられるし買える(買った人)のがまた楽しい。
昔のSOUNDCREATE Legato以上に小さいスペースの向こうに広がる世界が面白かった。
もっと早く行って、ここでご案内できればよかったのですが、明日まで!
行ける方は是非!
(竹田)
森岡書店 「かごを編む」
2月9日(日)13時-18時まで
〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目28−15 鈴木ビル