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時代について。この3日でいろんなことを思う。

この木曜、金曜にLOUNGEで有料制の貸切イベントがあり、BEATLESのホワイトアルバムの50周年を記念して、初日はオープンリールで全曲聴く、2日目はピーター・バラカンさんとBEATLES研究の第一人者の藤本国彦さんの対談という豪華貸切イベントでした。

バラカンさんの青春期に聞いた音楽体験の話を藤本さんが引き出し、その中でのホワイトアルバムの存在をお話し頂いたりしたので、単純にホワイトアルバムだけの話に留まらず、その時代の空気を感じながら音楽を聴いてという趣向。弊店主催のイベントではなかったのですが、こうしたことは何らかの形で弊店のイベントとしてもやってみたいなあ。

それとは別に、弊店イベントでご活躍頂いている哲学者の黒崎先生が来店され、TIDALを最近楽しまれているとのこと。どういうスタンスでTIDALを聴くかというところへ話が及び、私としては、例えばフィガロの結婚がいいとなれば、あらゆるCDを買い求めなくても、様々なフィガロを聴いて、その中からお気に入りを探すことができる、というようなお話をしました。

一方黒崎先生は、ご自身の中に根付いた音楽があり、それをどう聴くか、どんな音で聴くか、録音に収められたものの中からどれだけ聞き取るか、感じ取るかということをされていらっしゃる。語弊はあるかもしれないけれど、根本的なちがいは、バラカンさんも黒崎先生も、多くのその時代の方は皆、まず音楽を欲する、一つの愛した音楽ととことん付き合ってきているということ。

わたしには、私の時代にはそれはかなり薄れてきます。時代の流れは早くなる一方。昔のように誰もが知ってるヒット曲というのは、余程でない限りどんどん変わる。

一つの音楽をじっくり聴くことはなかった気がします。だから、そういう、その時代とともに音楽にどっぷりという経験、一枚のレコードを穴のあくほど聴くという体験は羨ましくもある。

それは今週時代を感じた一つのエピソード。

もう一つはSELEKT DSM。

このLINNの新製品、今までのDSMと何が違うかと言うと、モジュール式であるということ。MAJIKはハードなアップグレードができない。AKURATE 、KLIMAXは出来るけれど、基盤ごと。

SELEKTは作りからして、全てがモジュール式のため、一番はじめはStandard DACのごくシンプルからはじめても、自分のタイミングでこの先いかようにもアップグレードができる。

それは実は同社のLP12と同じ。DSが発売されて11年、LP12を作った創始者アイバーの息子ギラードの代でデジタル時代を完成させる。そのギラードが、LP12の作りと同じようなデジタルの機械を11年目にして初めてつくる。

それも時代。

それぞれの時代は、それぞれのやり方で花ひらく。どちらがどうではない。けれど過去への憧れを踏まえて。

いい時代を切り開けるように。

(竹田)

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