台風が近づいているせいか、頭が重くて、首が凝る。
寝違えて筋をおかしくしているか、血流が悪いのか、とにかく具合が悪い。
天気予報を見てわざわざ今日出かけようという人もそうそういるわけではないから、並木通りも静か。
メールも電話の問い合わせも少ないから、みんな同じようにだるい時間を過ごしているのではないかしら。
こんな時は、ゆっくり音楽でも流して聴きこんでいないアルバムから掘り出しものでもと思うけれど、
出会いは探しているときほどないものだから、何枚か流すうちにあきらめる。
今日はその日じゃないんだわ。
それにしても頭が重い。
店の本棚に入ったままうっすら埃をかぶった村上春樹の「Portrait in Jazz」をパラパラめくって、マイルスの章を読むともなしに読む。取り上げられているアルバムは「Four & More」。
数年前お客様のお宅のALTECで聴いてから、すっかり愛聴盤になった1枚。
村上さんは、演奏のことなど何も語らずに、ご本人の状況描写で、この盤の持つ「魅力」・・じゃない、なんだろう、「性格」・・?・・まぁ、そうしたもの、をすごくうまく表現されていた。
(この本、文字が大きいから400字詰めで2ページ強くらいの文章)
怒られそうだけど2行ぐらいに要約すると、私が今日身体の怠さを持て余しているのと同様に、村上さんは何かの折、精神的に重たい何かを持て余していて、このアルバムを聴いて、強い酒とこの盤が一時無感覚にさせてくれたという話なのですが、実際はすごく読ませるのでご自身で手に取ってみて下さい。下手な要約ごめんなさい。
とにかくその文章に触発されて、「ショック療法か、それもいいかもね」と、明るい店内に全然似合わないマイルス・デイビスの「Four & More」をかけてみました。結構大きめのボリュームで。
できれば目を閉じたかったけれど、お客様が入ってこられるかもしれないので、せめて頭を垂れて。
首の後ろに音が飛んできます。
あぁ、いいね。
これは下手な薬よりいいかも。
・・・しかし、これライブ盤・・。
ライブって、こんなあたまっから最後までずっと吹きまくり、たたきまくりだっけ。
トニー・ウィリアムズのドラムが好きで、耳はどうしてもドラムを追いかけます。
この間何かのライブでドラムが前に出よう出ようとしすぎて折角のボーカルの邪魔をしてちょっと立腹していたこともあり、何が違うのか(大いに違うのはわかっているけれど)つい考えてしまいます。
ドラムは奥ゆかしく、しかしでしゃばることも大切で、そして格好良くなければいけない。
見た目とかでなく、プレイが。プレイが格好いいと言っても、ナルシストではいけない。自我に目覚めていなくて格好いいやつ。
トニー・ウィリアムズのドラムって、本能で演っているというか、考えていないというか、あざとさが全然なくて、本当に格好いい。
でも、はたと思いました。
こんな天才を思いっきり遊ばせて、こんなに格好いい音楽にして、名盤として残っているということは、マイルスがスゲエのか・・。
マイルス・デイビスという人に、興味を持ったら頭が重いのを忘れていた、日曜の午後。