いっとき、一冊とか一つの物語に読み耽っていましたが、気忙しいここのところは、その日の気分に合わせた枕元の積ん読を。
・アストル・ピアソラ 闘うタンゴ 斎藤充正著
・私自身のための優しい回想 フランソワーズ・サガン
・韋駄天夫人 白洲正子
・心に残る人々 白洲正子
・地図のない道 須賀敦子著
こうして、今気分で手に取る数冊を重ねてみたら、共通点が。
もともと自由な精神をお持ちなのに、その時代や環境や国や性別、多くのことから一旦自由をしまい、世間やさまざまなことと折り合いをつけながらも、世間の目を気にせず本当に思うままの自由を勝ち取った人、その努力を惜しまなかった人。そういう方々。
若くして大成功した女流作家サガンの軽やかな鮮烈さ。
タンゴの枠を壊したピアソラの存在は、現在ジャンルを超えた音楽シーンで活躍する人たちの先駆者だったのではないでしょうか。
須賀敦子のイタリアにおける日本人の精神、その静かで確かな眼。
とびきり一級の男、白洲次郎の妻という存在におさまらない白洲正子の自分の人生を切り開いてゆく探究心と、存在の確立。
これらは、「挑戦」なんて生易しいものでなく、もっと崖っぷちの、自分の心が生きるか死ぬか、人生賭けたものであって、そういう人たちの書くもの、あるいはその記録に触れることが、今はとても大切に思えるのです。
なんでしょう。年齢や立場、仕事や人間関係に、不自由さを感じなくなってきたからこそなのでしょうか。我ながら無意識に選んでいた不思議な積ん読です。
(竹田)