音楽の秋、読書の秋。
秋始めの積ん読・読んどくは、この4冊スタート。
・女生徒 太宰治著
須賀敦子選の日本の名作みたいな本で、太宰の文体に出会ってからちょっとハマっております。中学生で「走れメロス」で知り合った第一印象に加えて、「人間失格」なんて題名のものを書いてる人とは到底縁がないものと思っていましたが、全然かしこまっていなくて、ちらほら聞こえてくる太宰のエピソードなどと照らし合わせると、こっちの方が「らしさ」があるのじゃないのかしらなどと、またしても浅はかな読みをしています。これは短編集で、殆どが女性主人公のモノローグという形を取っているのですが、どれも似通った語り口ながら、全然別人格に読めるのが、凄いなと思います。
どうも浅はかなことやあさましいのが嫌いらしく、どの主人公も自分のそういう欠点を嘆いてばかりいるのですが、私が主人公になってこの調子で独白したら、浅ましいと浅はかで小説が終わってしまうなと思いました。
・天平の甍 井上靖著
この間、井上靖の「額田王」を読んだら、言葉が美しくて、文脈が奥ゆかしくて、とてもいい気持ちになりました。東山魁夷や前田青邨の絵を、一枚、また一枚ゆっくり観るような、そんな感覚でした。こちらも中学生の時に読んだ「しろばんば」からの三部作を読んだっきりで、井上靖の自伝的小説はもちろんとても良かったですが、川端康成がアダルトの小説で、井上靖はヤングの小説くらいに思って、読んでもいないのにもうヤングじゃないからと離れたっきりでした。
人生損してるなぁ。いや、今気づいたならしてないか。今回は「天平の甍」をチョイス。
・古都発見 葉村凛著
葉室凛の歴史小説は読みやすい。割とカジュアルな気持ちで手に取っていましたが、先日全然別の作家の歴史小説を読み始めたら、あまりにも現代の感覚過ぎて、この時代の人こんなこと思うか?みたいな野次が心中飛びまくり、結局読了せずにやめました。そこをいくと葉室凛の文章はスッと違和感なくその時代に入れます。
新しく手に取ったこの一冊は、随筆集で古都・京都について書かれたもの。あの人の感覚で歩く京都はさぞ楽しかろうと、古都へ想いを馳せながら。
・アウトサイダー スティーブン・キング著
喫茶店で読んでいたら店員さんに「スティーブンキングですか!」と声をかけられました。嬉しくて「お好きですか!?」と聞いたら「わたしは映画でしか」とのこと。もう絶対言いますけれど、キングは小説の方が絶対に面白いですから。毎度のことですが、最初の方はタラタラと読み進まず、2,3ヶ月放置してありましたが、上巻の150ページあたりからあっという間にエンドロール。。。
訳者のあとがきによると、この作品のあとにも続々翻訳予定の作品があるようで、嬉しくページを閉じました。息子との共作が出版されたりしていたので、そろそろキングさんもお年で大変なのかなと思いきや、今回も筆力のあるSFでした。「ミスター・メルセデス」の三部作で活躍するホリー女史が登場して、もう会えないと思っていたので突然の再会につい乾杯のビールを開けちゃいました。彼女飲まないけど。。