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学生のころ、毎月課題図書があって、400字詰めの原稿用紙1枚に感想文を提出するというのがあった。

課題図書はたしか毎月1冊で、学年全員が提出していたのだと思う。もちろん漱石の「こころ」などもあったけれど、セレクトが結構渋くて、今でも覚えているものは「路傍の石」山本有三、「さぶ」山本周五郎、「黒猫」ポーなど。

結構大変で、全く書けず母に書かせたこともあった。どんなに中学生風の文章にしてもきっと先生は見抜いていたに違いない。

いつも評価は低くて、楽しいと思ったことはなかった。
毎回「〜ということを学びました」と締めがちな感想文に、先生の大きな赤い字で「学ぶ必要はない。感じなさい」と書かれていた。

その後のことは覚えていないけれど、その言葉だけは今でも度々思い出す。
30年も前に言われたことでも、いまだにその戒めを思い出さなければ、私のインサイドフォースは「学び」に寄りがち。

学ぶことが悪いのではないけれど、感じる心があれば学びようも変わる、というか、感じる心は触媒(catalyst)みたいなものかもしれない。
音楽は直球で感情に訴えるので、そういえばこの仕事に就いてから学ぶことが楽しくなったことを今思った。

(竹田)

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