★ヘッドフォンガール/高橋健太郎著
ステレオサウンドに「名盤深聴」を連載されている高橋健太郎さん。この連載を実際体験しちゃおう!というイベントを弊店LOUNGEで数ヶ月に一度実施中で、しかも著書の高橋さんご本人とオーディオ評論家の山本浩司先生を招いてお話頂くという、贅沢極まりないことをやっています。うちのLOUNGE自慢のイベントの一つです。(私が自慢することではないですが)
さて、話がはなから脱線ですが、その高橋さんの書かれた小説。
高橋さんが書かれているものを読むと、それがなぜ名盤たるかの裏付けが構築的に書かれ、録音やレコード会社の状況などの謎解きがあり、とても実際的なため、「え、フィクション書かれるんだ」という感じがありましたが、読み始めて納得。
録音現場で働く主人公や、音楽に携わる登場人物の背景は実に臨場感を持って描かれます。
高橋さんの頭の中を覗いているかのように。
ちなみに、裏話で、この小説は高橋さんが地下鉄でうたた寝した時に見た夢が面白すぎて、それを人に話したら「今すぐ書き留めた方がいい!」と言われ書き上げたものだそう。
そう言いつつ、実は公表されている話かもしれませんが、少なくともご本人から伺った話です。
事実は小説より奇なりなのだけど、これは高橋さんの夢の中で起こった事実かもね…などと思ったり。
★AIを信じるかアッラー(神)を信じるか/島田裕巳著
島田裕巳さんも弊店で、哲学者の黒崎政男さんとの掛け合いで、さまざまな興味深いお話を頂いた宗教学者の先生。
島田先生はほぼ毎月くらい本を出されていて、そのどれもが当然宗教に関わることですが、今の時代を表す興味深い内容。
その新刊がこちらの著作。
AIが毎日のように話題に上がるのは、いつからなのかわかりませんが、私がその言葉を初めて耳にしたのは2001年。スピルバーグの映画でした。…と言っても、「ロボットに乗っ取られる話でしょ」みたいに興味を示さず見ないまま今に至りますが。人工知能が世の中乗っとるか乗っ取らないかはわかりませんが、島田先生の本を読みながら、今のところ結論は示せても過程を提示することができないAIに世の中乗っ取られることはないなと、まだ途中なのに安易に思っている次第です。
というか、オーディオで音楽を楽しむなんて芸当、人間にしか出来ないよ!と思っています。
★ファインダーズ・キーパーズ/スティーブン・キング著
毎度好きだねえと言われるかもしれません。なんでスティーブン・キングの小説は好きなのですかねえ。
いつも必ず好きな一文があります。
今回のは「クソにはクソの価値もない」。
これが好きと言ったら性格疑われそうですが、何度も小説の中に使われて、じわっと効いてきます。時々口に出して見たくなる笑。
ところで、この本にはアメリカの小説家の名前がたくさん登場します。出てきてもいいのに出てこない一人にサリンジャーが。隠遁生活を送っている犯人に殺されてしまった小説家はサリンジャーなのかな。サリンジャーの未発表作品があんなにあったら、それこそ…。
もう一つ因むと、一昨日発表された「メルセデス・キラー」の続編で、これは三部作になるとか。
まだ第3部は和訳されていませんが、キングは書き終えているとか。71になってこの筆力。ホントに凄い。いつまでも新刊を出し続けて欲しい作家の一人です。