このタイトルでブログを書くのは3度目なのですが、ほかに言葉が思い当たりません。
今回のイベントでは、バッハ マタイ受難曲やワグナー タンホイザー をかけるにあたり、哲学、宗教の両先生から、そこに神がいるかのように思わせてくれればそれでいいから。と難しいご用命を受けておりました。
マタイもワグナーも聴き込んでないのに、神を感じるようなとは、また難しいミッション…。
ここ数週間タンノイ オートグラフも、LINN KLIMAX EXAKT350も、鳴らし込んできましたが、イベント直前で最後に決め手となったのは、この人たち。
ミューフル、アンスズ。
いずれもインシュレーターです。前者は革製で弊店オリジナル。後者は金属製でメーカー品。
今日のセッティング、先生方やお客様から分厚い音、量感のある低域、だけど解像度が高い、そんなコメントいただきました。
もちろん機器が良いのもありますが、それだけではこの音出なかったのね〜。
アンスズのインシュレーターが、ケーブルのところでどうやったってじんわり起こるノイズを解消。それもまとめてクリアにしてしまうのではないところが、このインシュレーターの凄いところで、未だに上手に説明できません。ただクリアにするというと、大まかに削りすぎて、ツルッとしたり綺麗になり過ぎるのですが、これは金属で作っているのにもかかわらず、そこに磁界などを作ることもなく、本当に余計なノイズだけを取っているようにきこえます。
それは、ミケランジェロが石の塊の中からピエタ像を掘り出したごとく。
アンスズについては、もう少し勉強して次の機会に。
そこいくと、うちのオリジナル製品の革インシュレーターmu-fleの構造は簡単です。
表革と銀面加工した裏革のリバーシブルのパーツを5枚、組み合わせたもの。
この効果としては、ケーブルを浮かすインシュレーターの役割と、この形状がレゾナンスを拡散させてくれること、更に、音が溜まるところの吸音をしつつ(裏革)、音を前に出す(反射/表革)という3役を担っています。
話だけ聞くと、超万能じゃん!と思われますでしょうが、超万能なのです。
10年くらい前にこのインシュレーターを作りましたが、この効き目には改めて驚かされます。
今日の分厚い音は実はこのmu-fleが決め手でした。
神を感じる音ということは、まず音の洪水のごとく、会場が音でうまってなければならない。薄い音では、自我や客観を生んでしまいます。
低域の豊かさ、天に届くような高域、それでいて充実した中域。
我らがLOUNGEで、30人のお客様を前に、いくつものスピーカーを並べてそれを実現に近づけるのは、ただ機械の音だけではそうならない。
上の写真で、ブルーでマーカーした部分は、とりわけレゾナンスが起こりがちなところ。
タンノイから音が出るときにとなりのVitavoxのバッフルが響き、タンノイのために少し引っ込んだVitavoxと更にそのとなりのRCAがコの字型にスペースを作ってしまい、このコの字の内側でレゾナンスが起こります。
LINNの350を鳴らすなら真後ろですから尚更。これをmu-fle1個が解消してくれます。解消するだけでなく、音を前に出してくれる。
今日の音は、そんなこと出来上がった音でした。
お客様に神を感じていただけたかはわからないのですが、私はマタイやワグナーの音楽について、少なくとも今までの少ない経験と比較すると、今日初めてわかった、感じたことが多い気がいたします。
(竹田)