既に数誌では紹介されているBRODMANNのスピーカー。
みたみた、ベーゼンドルファーの後継機でしょう?という方、
ちょっとお立ち止まりください。
そこへ弟子入りしたのがイグナーツ・ベーゼンドルファー。
その後、ベーゼンドルファーが引き継ぎ、最初の15年はブロッドマンとのダブルネームでピアノを製作していたのだそうです。
近年になって、ご存知の通りベーゼンドルファーでオーディオ部門を設立、その後会社のすったもんだがあり、2005年にBRODMANN社が設立され、ベーゼンに居たCEOや技術者は移籍。
2008年にベーゼンのオーディオ部門を買収し、今に至るとのこと。
しかし、作りや工場は異なり、改良も重ね、聞き知っているベーゼンとはだいぶ違うのではないでしょうか。
例えば、低域システムの「ホーン・レゾネーター」の採用で小ぶりながら自然で驚くような低域を出しますし、ポーランドの老舗工場で8回塗装されるというキャビネットは、歪みのない鑑のようで塗装一つとっても技術度の高さを窺い知ることが出来ます。
オールラウンドプレイヤーではないかもしれません。
しかし、ピアノの名曲が世の中にどれだけあると思います!?
だけどピアノだけじゃない。
声も、オーケストラも素晴らしい。
S/Nがいいスピーカーと言うのでしょうか。
バリトンの歌い出し、ピアノの鍵盤の打たれる瞬間、指揮棒が空を切る瞬間、それらは眼の前にある静けさの中から繰り出され、出てくる音は確かな手応えがありながら、涙が出るほどの美しさ。
低域が深く伸びて、スピードが早いので、そういうふうに聴こえるのだと思いますが、
何しろ、嫌な音がしない。
後ろに下げれば音が太く華やか、1mm前に出せば何とも言えない美音、内を向ければ・・・、どれにも忠実に応えてくれて、好みの音を探すのも楽しい。
今週はFestivalシリーズ中よりFSを。
次週は、また別モデルをご用意する予定。
でも、自分ではFSが好きだろうと予測しています。
ものすごく好きな音。
好きな音楽がこの音で聴けるって、凄く幸せなことだと思います。
ちなみに、タイトルの「楽器のように呼吸する」というのは、設計者ハンス・ドイツ本人の言葉。
楽器はレゾナンスの除去に吸音などしたりしません。
そこへ着目し、吸音材などを使わず、楽器を作るようにスピーカーの構造を工夫した・・・というような大雑把な説明で恐縮ですが、テクノロジーの詳細についてはまた後日!
確かに楽器のような音であり、しかし呼吸するように緻密なスピーカーだと思います。
BRODMANN Festivalシリーズ FS
¥620,000(税別)