今から十数年前、もしかしたら二十年近くたっているかもしれません。
当時、何ともこころ癒される映画に出会いました。
「バクダット・カフェ」
アメリカ西部、モハーヴェ砂漠の真ん中に、ひっそりと佇むダイナー&モーテル「バクダット・カフェ」。
たまに通る長距離トラックや旅行者が立ち寄るだけのカフェ。
仕事をしない亭主とのケンカばかり、日々夜遊びに明け暮れる娘。
そんな日々の生活に疲れきってしまった女主人・ブレンダ。
しかもそこに集まるのは、売れない画家、下手くそなピアニスト、お色気だけの刺青師など、うだつのあがらない人々。
そこに現れたのが、旅行中亭主とケンカ別れをしてきたドイツ人女性ジャスミン。
砂漠の真ん中に然現れ、不気味な大柄の女性ジャスミンに不信感を表すブレンダ。
ジャスミンがモーテルを勝手に掃除したことがきっかけとなり、何時しか心を開いていく二人の女性。
そんなジャスミンに、周りの人々の枯れた砂漠のような心も何時しかオアシスへと変わっていくのでした。
この映画はドイツ映画で、異国の人が「アメリカ」をとったので、どこか幻想的で抽象的な雰囲気を醸し出しているように思いました。
オレンジががった映像が広大な砂漠をより一層大きく見せ、そこに浮かぶ給水塔、マジック、ブーメラン。
下手くそなピアニストが弾く「バッハ」。
砂漠とは対照的な森の国ドイツ人女性ジャスミン。
そして、どこか遠くから聴こえてくるように思えるジェヴェッタ・スティールの「CALLING YOU」
砂漠の中、オレンジ色、癒しに、とてもマッチしています。
I am calling you
Can’t you hear me?
I am calling you
今でも「CALLING YOU」を聴くと、果てしなく続く地平線、見上げる青い空、オレンジ色、給水塔、そして人々の笑い声。
そんな砂漠の中のオアシスに自分がいるように思います。
(三浦)