タイトルで偉そうに言ってみましたが、元々知っていたわけではありません。
PIEGA COAX311をOCTAVE V110SEで鳴らして、ラヴェル「鏡(miroirs)」を聞こう、きっと合うはずとプレイリストにのせたところ、たまたま通りがかったLINN JAPANの古川さんが「今日、ラヴェルの誕生日」と教えてくださいました。
それならと、今日はラヴェル三昧です。
少し前まで「前衛的で小難しい」と敬遠していたのですが、昨年デニス・コジュヒンの弾くラヴェルのピアノ協奏曲2楽章にはまってから、抑制のきいた内省的な広がりにすっかり魅了されて、昨年一番聞いた曲の1つに。(2019.8.22 ラヴェルのピアノ協奏曲と映画「Cold War」)
それでも、ラヴェルの曲は、「亡き王女のためのパヴァーヌ」とか「ボレロ」とかはともかく、そのほかはどこから崩していけばよいかやっぱりあまりわからず、そのままにしていました。
昨日、ミケランジェリ盤のドビュッシー「プレリュード」をかけたら、「いいねえ。いい響きだねえ。あれもいいよね。ラヴェルの『鏡』。のだめでも出てきたから知っていると思うよ」とお客様から言われ、今日プレイリストに載せるに至ったのでした。
ラヴェル「鏡(miroirs)」は、5曲から成る組曲。
うち、「道化師の朝の歌」は、ドラマ化された漫画「のだめカンタービレ」でも主人公のピアニストが劇中で弾く1曲。
TIDALで検索した中で、新しい盤の疾走するような演奏も水あそびみたいな景色でそれぞれに素敵でしたが、意外と好きだったのは、この2枚。
アンヌ・ケフェレックとジャング・ジャ・キム。
前者はフランス人ピアニストで、サティなどの盤で聴いていました。後者は、ボストン音楽院の教授だとか。
演奏者の出自はともかく、ラヴェルのこの曲が、疾走感もよいのですが、いろいろな側面(場面?)があって、ただ駆け抜けていく演奏だと、ちょっと面白さがでない気がするのです。
不協和音兼ねた響きの余韻を楽しむのなら後者、ウイットに富んだ洒落た演奏を楽しむなら前者。
タイトル「道化師の朝の歌」に相応しいことなのか、人を笑わせて、笑われて生きる道化の薄暗さと、切なさと、戯けたところと、何かへの憧れとあきらめと。絶え間ない本音と建前の行き来。
そんなことを感じてしまうのはこじつけか。
でも、短い5-6分のこの曲についストーリーをしたててみたくなる、そんな曲。
ラヴェル、いまだにとっつきにくくて、その屈折した美、簡単にはなびかないところがフランス的、、、。などなどと思っていましたが、単純に美意識の感覚の違いなのかも?
少し聴き慣れてくると、樽の効いた白ワインとか、、、例えばムルソーなんかのクリーミーで表情豊かなとろみとちょっと似ている気も。
明日は信濃屋行こうかな…。
(竹田)