オーディオを買う時、
もちろん音が良くなることのために「かいもの」をするわけですが、
たとえば、モノとして見て、今までより立派に見えるアンプであったり、
美しいスピーカーであったりすると、
「買ってよかったなあ。嬉しいなあ」
ということって、心情として当然あると思います。
しかし、そういう心情を一切無視した、すごいヤツがいます。
その名も、「LINN KEEL」
今回のご納品は、LINN LP12のアップグレード。
KEEL(サブシャーシ)とKrystal(MCカートリッジ)でした。
サブシャーシと言われても・・・ですよね。
モノを見てみましょう。これです。
これです、と言われても・・・ですよね。
これはターンテーブル(レコードが乗せられる部分)と、
それをトレースするピックアップ(アーム+カートリッジ)が載る部分。
LP12に組み込まれた時、アームボード部は、かろうじて露出していますが、
4つの穴があいているベロになっている部分は、LP12のトッププレートに隠れて見えません。
組み上げ後は、特に触ることも操作することもありません。
KEELという名は、船の船首から船尾まで通る支柱ですが、まさにLP12の竜骨であるこのサブシャーシが、
大変重要であり、なおかつ高価。
このアルミの削り出しの板1枚で40万円です。
しかし、このKEELすごいのです。
その凄さは、お客様のメールを抜粋。というか、そのまま。
「すごいです。
今までとは別次元です。
狭い部屋でも、音の広がりと奥域が増し、楽器の定位が格段に良くなりました。
オーディオ雑誌の解説で、オーケストラの奏者が増えたと言う表現を目にしますが、まさにその通りです。
静かさと音の密度が増した結果、音量を上げてもうるさくない。
刺激的な音は全くなし。
響きが豊かになった。特筆は、カラヤンのブラームス「ドイツレクイエム」の最初。
pppで入ってくる合唱が見事に表現されます。素晴らしい。」
もちろんカートリッジがKrystalになったこともあります。
しかし、このKEELで得られる「静けさ」は圧倒的。
私自身、「静けさ」によって濃い空気感が立ちこ込めるのは、KEELのLP12で聴いた時に初めて体感しました。
濃い空気感はその録音された場の空気。
レコードの一音目が出る前の無音部分で、その時代に行けるのです。
KrystalもKEELのサブシャーシだと、発揮度がすごいです。
しかし・・・
イギリスのホンモノの紳士は、同じスーツを1ダース注文して、
いつも同じものを着ているように見せる。
お洒落をしていると見られたくない・・(つまりそういう気分を他人に悟られたくないから)
それが本当の洒落者だ・・
という話を白州正子の本で読んだことがありますが、
イギリスのそういう気質というか背景というか、
このKEELにも通じるような。
お客様のメールの最後には、
「最近は、色々なレコードを聴き直していますが、どれも名盤に変身しました。」と。
音楽の本質を見せてくれるKEEL、やっぱりすごいのかと。
LINN メーカーサイト