LINNの新製品360、EXAKTスピーカーがほんの数日ここへきて、えも言えぬ感動を覚えて、
昨日PASSIVEをLINN KLIMAX DSMとKLIMAX SOLOで鳴らして聴いてみた時に、初めはその可能性は感じるものの、
やっぱりEXAKTのほうが断然すごいんだ・・と思ったのでした。
ただ、終日鳴らした夕方、そして今朝、もう既に期待を超えたなり方をしていて、
スタッフみんな、セッティングするというより、聞き入る・・といった感じでした。
席が空くと誰かがおもむろに聴きにいきます。
私も隙を見て何度か5階に上がりました。
かけてみたのは、
カーペンターズ For All we know
ビートルズ blackbird
サイモンとガーファンクル America
Berlioz 幻想交響曲、4,5楽章 ドゥダメル指揮ベルリンフィル
Dvorak 弦楽セレナーデ2楽章 チョン・ミュンフン指揮ウィーンフィル
Ravel ボレロ カラヤン指揮 ベルリンフィル
Wagner トリスタンとイゾルデ カルロス・クライバー指揮 第2幕 Horst du sie noch?
Mozart フィガロの結婚 エーリヒ・クライバー指揮 第1幕 Cosa Sento~
Nujabes Reflection Eternal
・・・
みていただいたらわかるように、オーディオチェックでなくて完全に趣味の域に入っています。
オーディオチェックは、Brliozくらい。
オペラの他だと、上に挙げたボレロとかドボルザークの弦楽セレナーデとかNujabesのこの曲のように、弧を描きながら音楽の渦が段々と大きくなっていったり減衰してくようなそういうものがどうも好きなようなのですが、そういう音楽ってオーディオで鳴らすと割と退屈になっちゃうところがあって、生演奏でなければ移動中のイヤフォンで聴くのがよかったりするのですが、これが今日は席を立つことができなかった。こんなに音楽が弾むというか、そういう風に聞こえたのは初めて。
厚い空気の層のような低域がずっと音楽に寄り添っていて、そのため中高域の遠近感がはっきりわかって、この音楽はこんなに感動的だったのかとつい聞いてしまう。
Berliozなど地鳴りのような低音があってこそ小鳥のさえずりような中高域の鮮やかなテクニックが生きる。
そんな風に書いていったらキリがなく、感じたことを言語化するのが途中から追いつかなくなりました。
360の音楽を目の前にしながら、この経験てなんなんだろう‥とふと思いました。
これは美術館で絵画を観るのに似ている。
フラ・アンジェリコの受胎告知、長谷川等伯の松林図屏風、クリムトのユディト、あるいはダナエ、藤田嗣治の乳白色、
ダ・ヴィンチの岩窟の聖母、ティツィアーノやレンブラント、様々な名画を目の前にしたとき、圧倒されて、次の瞬間、呼び起こされた感情を目一杯自分の内側に取り込もうとして、絵から遠く離れたり近づいたり、少し他へ行ってまた戻ったりする。
そういう絵が、いくつかあります。
そういう絵を見ているみたいな感覚。
360を前にして私のほうで離れたり近づいたりはしないけれど、音楽のほうが近寄ったり迫ってきたりする。
ボレロ冒頭のスネアドラムが遠くから確かに聞こえてくる感じ、私が指揮者だったら絶対にこういう風に表現したい!
フラッグシップはとても高くて、中々、気軽にお勧めできる価格帯のものではないのですが、
これを体験した恩恵としては、2階のシステムを今日初めて認識した鳴り方や響きに近づけたくなって、セッティング頑張ったらちょっと音が良くなったことなど。
(竹田)