月曜日は京都で仕事で、合間の時間に近くのお寺、建仁寺と高台寺を巡りました。
★ 四角いトリミング
納品先の近くで、立ち寄った建仁寺で一息つかせていただきました。
大書院と小書院を繋ぐ2本の渡り廊下によって四角く切り取られた中庭。
三尊石を中心にひれ伏す石や遠くから眺める石、強い信仰心を見せる石・・・
中心に向かって周りが引き寄せられるのか、あるいは外から引っ張る力によって中心が成り立つのか・・
世の中の在り方に思いを馳せながら、居座る
建仁寺の三門の、四角い開口越しに観る法堂。
三門の前に左右対称に配置される真四角な池の中央に盛り上がる蓮の葉
小書院の西側「唐子の間」の障子の影絵。
今回は妙に四角く切り取られた世界に惹かれる。
四角く切りとるのは、カメラや映像の世界と一緒。
視界から切りとられたものには意味が生まれる。
意味を持たせた景色を見た気がした。
★ホンモノか複製か
建仁寺の本坊の入り口すぐのところに所蔵の俵屋宗達「風神雷神図屏風」の複製を飾っていた。
Canonの綴りプロジェクトという、文化財継承のための企画だそうで、制作過程の映像を脇で流していた。
なんだ。複製か。作品に力がないものな・・。
などといっちょ前のことを思って、サラッと流し見して建仁寺をあとにした。
更に東へ歩を進めて高台寺へ。
高台寺の中でも、秀吉の北政所ねねさまが晩年過ごした圓徳院は好きな場所で、時折立ち寄る。
そこに長谷川等伯の描いた山水図がある。
五三の桐紋が箔押しされた襖に、等伯が自分の故郷の七尾の景色を描いたというもの。
和尚さんがいない間に短時間で書いたエピソードとともに、箔押しの紋を雪に見立てたという説明が添えられていて、初めて見た時にじんわりしたものが心に広がったのでした。
展示の仕方がイマイチで、ガラス(アクリル?)に反射して良く見えないし、不満を覚えながらもイイなぁと思っていたのでした。
・・が、自宅に帰ってからこの綴りプロジェクトの記事を見ていたら、どうもこの等伯の襖絵も複製らしいことが分かりました。
えー。
2010年かその前に寄贈とあるので、おそらく初めて見たのも複製。
ホンモノか複製か・・ということに頭を悩ませてしまいました。
ホンモノをそもそも見ていないから、この襖絵が持っている力自体を知らないということもあるけれど、なんだか「見る眼」を持っていると思ったのがとんだ勘違いだったのか。。と、なんでも鑑定団を思い出す。
★ 小豆の力
圓徳院の順路最後の北庭。
ここは石の配置の仕方がオーケストラみたいで面白い。
こじんまりした広さも親しみ深く、派手好みの秀吉の正室だった人の晩年がこの感じを好んだということに、色々なことを思い浮かべてしまう。
しかし、この日の京都は10月も半ばというのに最高に暑く、外国人はTシャツどころかタンクトップの人さえいる始末。
私は仕事もありジャケットなどを羽織っていたので、暑さと日々の疲れにやられてしまいました。
お昼かお茶に入ろうにもどこもいっぱい。
ここでしばらく座り込んでいたら、隣でお抹茶を飲んでいる人が。
そんなサービス(有料の)始めたのか・・と、鐘を鳴らして冷たいお抹茶を頼んだら、一緒にきんつばが添えられていました。
一口目の小豆が体中に沁みる。
二口目で随分疲れが癒える。
小豆の力を実感した一コマでした。
(竹田)