本日は早引けして、コンサート聴き納め。今年最後はR.シュトラウス「ばらの騎士」でした。
シュトラウスのオペラのコンサートは初。ドタバタもありますが、それよりも普遍の人間ドラマがたくさんあって、しみじみと良いオペラで、演奏、歌手がまた素晴らしかった!!!
若いオクタヴィアンと元帥夫人の「この世に2人だけ」といった感じの気怠い恋のやりとりから始まりますが、この恋はそう長くは続かない。若いオクタヴィアンの熱のこもった眼差しは眩しくも、元帥伯爵という高い位の立場と女性にとっての年齢の意味するところなどから、伯爵夫人は自分からこの恋を手放します。その賢さと賢さゆえの悲しさ。
貴族の放蕩を象徴するようなオックス男爵(中央赤いチョッキ)とセットの優美な耳心地いいワルツか。素敵な曲!!と思って以前からそこばかり聞いていましたが、物語の中で聴けば、ワルツに合わせて「俺といればどんな夜も長くない」と口ずさむ男爵の周りには誰も残らない、、、かえって物哀しく響きます。
ドタバタの末、最後にはオックス男爵のまた婚約者のゾフィとオクタヴィアンという若いカップルの誕生で幕を閉じますが、若い二人を導く元帥夫人の気高さと悲しさ、夫人の存在に後ろ髪を引かれるオクタヴィアンのやるせなさ、オックス男爵で男性不信になりかけた?ゾフィーが、オクタヴィアンに惚れているものの、この恋に身を委ねて良いかどうかの不安。
いろんな想いが錯綜するシュトラウスのオペラは、モーツァルトのオペラの軽やかさともまた一味違い、ワーグナーほどの重々しさはない、もっと日常的、普遍的感情が歌になりドラマを作っていて、とても素晴らしかった。
ジョナサン・ノットの指揮は、以前「フィガロの結婚」で体験済みで絶対良いはず!と思っていましたが、期待通り軽妙で明るく物哀しく、歌手の面々も声量もあって心情も細やかで、ブラボーが飛び交っていました。
個人的ワーグナーイヤーだった2024年でしたが、素晴らしい聴き納め。来年はウィーン国立歌劇場が来て「ばらの騎士」と「フィガロの結婚」なのだとか、、さて、どちらに行くか、いやその前にチケットの値段公開が恐ろしいですワタクシ。
(竹田)