ポッドキャストを始めてから、積んでいただけの本が活躍し始めました。
明日の収録の準備に役立ったのは
大崎滋生著「史料で読み解くベートーヴェン」

数多くの会話帖や楽譜の出版履歴、当時の情勢や取り巻く環境などさまざまな史料とベートーヴェンの作品を照らし合わせて事実に目を向けた著作で、ピアソラの時も思ったけど、こういう人が日本に居るって本当にすごい、宝だ!と思います。
ベートーヴェンのことを書いたシンドラー(※)の伝記が、かなり虚飾に満ちたものだったということは、50年近く前に既にわかっていたことだったようですが、それでも48歳のわたしはシンドラーの捏造した方のことをベートーヴェンの印象として持ってきているのだから、シンドラーって人は罪作りというか、、、。
※ ベートーヴェンと直接関わったことのある19世紀の人
誇大広告のおかげでベートーヴェンの音楽が聴かれているわけではないことは百も承知ですが、この本に触れるまではシンドラーのことさえ知らなかったし、すごく丁寧に実直に史料と向き合って、本質をついているので、ものすごく面白い。
最初のページから順に読んでいくのは結構大変なので、今回はポッドキャストで扱うピアノソナタに関わるところの周辺を拾い読みしていたのですが、とても興味深かったです。
内側から湧き出る泉のような瑞々しさを持つ後期ピアノソナタの30番から32番の3曲が、ベートーヴェンが「パン仕事」と言っている。要は「食うための作曲」と言っているのにはかなり衝撃でしたが、それであの作品というのは、ベートーヴェンがいかに大大大作曲家であるかという証明であるなと思います。
ネット上のキャッチーな言葉や、形だけ整って空虚な文章が多い世の中で、こういう地道で直向きな本の存在に神々しさを感じるばかり。
(竹田)









