店内にある様々な家具。
主にデンマーク製の逸品ですが、「よく見かける」人気モデルの他、中には知られざる名作も。
少しずつ、ご案内してまいります。
まずは5階から・・・
●Arne Jacobsen /SWAN SOFA アルネ・ヤコブセン /スワンソファ 1958
アルネ・ヤコブセンが1958年にコペンハーゲンのSAS(スカンジナビア航空)ロイヤルホテルのロビーやラウンンジエリアのためにデザインしたソファで、復刻されたのは2000年でした。
5階試聴室の試聴用に使用しているものは、グレースレザーのウォールナット色のもの。
ラインアップ中のレザーの中で一番上位のものです。厚さも1.2㎜から1.4㎜と薄めで、繊細でしなやかな印象。この革は通気性がよいので何時間座っていてもいやな蒸れもありません。
座って驚くのは、その固さ。
ソファと言っても柔らかくドサッと体を預ける感じではないのです。
シート部分は硬質発砲ポリウレタンで成型されているのですが、そのためなのか、長時間座っていて疲れない、居心地が悪くないというのはこれまた驚く点でもあります。
ただし、クッション性の高いソファに比べると、どうしても沈み込みなどはないので、「ど・リラックス」向けではないですが、お尻が痛くなったり、疲れてしまう・・ということがないことは確か。
そして、ソファにかけた姿が姿勢よく、綺麗に見えるというのは、やはりホテルのロビー向けに作られたからなのでしょうか!?
年を重ねるごとに後姿が気になり始めましたが(自分の話)、後姿も見逃せないSWAN SOFAです。
エッグチェア同様、スワンソファのこの優美な曲線で描かれるシェイプは、前述した素材によるところだと思いますが、製作された当時、材料の使い方として大変斬新で、そうした面でも話題になったようです。
●Arne Jacobesen The Egg Chair /エッグチェア 1958
言わずと知れた・・というほど、有名なエッグチェア。
おそらくデザイナーの名前も製品の名を知らずとも、どこかで目にしたことがある方が多いのではないでしょうか?
上述したSWAN SOFA同様、1958年のSASロイヤルホテルのためのデザインですが、こちらはハイバックで、更に顔回りが少し内側に入っているのは、ホテルのロビーであまり顔を見られたくない人のための配慮・・というようなことをどこかで読んだような、聞いたような。
エッグの張地は、最近ではミナ・ペルホネンなどの可愛らしいものもリリースされていますが、弊店店頭のものはシックに草色のもの。Kvadrat社のCanvas2シリーズのものです。(Canvas2-974)
●Fritz Henningsen /Mahogani Side Table 1940-1950
フリッツ・ヘニングセンのマホガニーサイドテーブル
上のヤコブセンとは打って変わって、これは玄人好みの逸品です。
ヤコブセンやウェグナーの活躍前にデザインされたもので、私たちの抱く「北欧家具」のイメージよりは、少しイギリスの風土に近いような・・。
みてください。
弊店の入っている三木ビルさんは、1950年代前半の建物。
その廊下の階段や建物の造りともしっくりくる。。。
デザインに年季、奥行きを感じますね。
ヤコブセンの未来的なデザインからすると、すごくクラシックではありますが、落ち着きとインテリジェンスを感じませんか。
百合の花が開いたような脚部のラウンドとそれをまとめる根元のデザインのあしらいなど、
華美でないセンスの良さを感じます。
他にはない唯一無二のもの。
テーブルの淵のあしらいが素晴らしい。
デザイナーの美に対する真摯さの現れのよう。
ちょっとした欠けも愛しい。(って、これうちの店でついたのかな。。)
背面のネジもマイナスネジ。年代を感じさせますね。
Tannoyのオリジナルも、マイナスネジだと、当時のまま・・などの話があります。
綺麗なマホガニーの海に、航海(後悔)する小さい船(傷)・・。
これは以前ルカ・スカンジナビアさんにいただいたものです。
日本ではあまりお目にかかることがないようですが、米国では35-40万円もするのだそうです。
この後どんどんデザインがシンプルになっていったのだと思いますが、
デザインの変遷とはまた興味深いものです。
過程無くして今はなし!
(竹田)