昨夜遅く、しとしとと雨が。
季節の変わり目で体調がパッとしないから、TVも音楽もつけずに店仕舞いしようか。
専業主婦の母は、家族から食後遅くなっても珈琲だとかお茶だとか言われると「今日は店仕舞い」というけれど、一人暮らしだと店仕舞いでもないか。
何かいい言い回しはないものかしら。
とはいえ、ベアチェアに身を沈めたら、雨の感じが妙に暖かくて、1曲何か聞きたくなりました。
さーて、何をかけよう。
気分に沿った音楽をかけないと、元気のない時は音楽が耳ざわりになることもある。
こういうときはストリーミングよりも自分のライブラリ(NAS)から音楽を探してしまうのは、古い人間なのでしょうか。
あ。あった。
これは絶対に今の気分にマッチする。
Pat MartinoのギターにCassandra Wilsonの歌う「Both Sides Now」。
この歌を聴くのに、これ以上のうってつけはないと思えるほど、気分も体調も天気もピッタリ。
全部が凝縮された4分で、1曲聞いて寝ることにしました。
Pat Martinoは、付け焼刃な知識で言えば、60年前の15歳からプロとして活動しているアメリカのギタリストで、直近のアルバムが2017年なので、今も活動中のようす。
60年間ずっと活動していたかというと、そうではなくて30代で脳疾患で倒れ、なんとそれ以前に修得したギターの技術や音楽の記憶を失ってしまったというのです。
その後自分の過去のアルバムを聞いて回復したそうなのですが、このアルバムは回復後5枚目くらいのもの。彼の過去の作品からすると毛色が違うとか、評価は低め。
Both Sides Nowの歌詞の「物事の両面を感じながら結局はわからない」というような雰囲気って、Pat Martinoのそれまでの経験になんとなく近い感じがして、結局はわからないけれど、両方知っている分優しくもなれるし、冷静にも見られる・・カッサンドラ・ウィルソンの声に、つかず離れずのギターがそう言っている気がして、世間の評価はともかく、私は好きな一曲なのでした。
(竹田)