アメリカ黄金時代、Eの上に王冠のマークを配したEMPIREというブランドを、往年のオーディオ愛好家は懐かしそうに「金色のターンテーブルのね!」と仰られます。
日本にはあまり入っていなかったようですが、60年-70年代にはスピーカーも作られていて、円筒形のタイプは弊店ですっかりお馴染み。
円筒形のスピーカーは、9000、8000と2種類あって、いずれも、ウーファーは下向きに取り付けられ、金色色のツイーターとミッドが正面に配されます。
9000は7角形の密閉型で40㎝ウーファー搭載。
8000は、意匠は多角形ですが、内部は円筒でバスレフタイプの30㎝ウーファーを搭載。
製造年が70年代近くになってくると作りは簡素化されて、マグネットもフェライトになりますが、お納めしたものは60年代中頃のもので、アルニコのマグネット。
作りの良さは、アメリカの豊かな時代を象徴するかのよう。眺めているとその時代へ思いが飛んでゆきます。
駆動するのはOCTAVE V70SE。
お客様はムラードのヴィンテージ管EL34をお持ちで、これで鳴らします。
曲によってはややキツめに出ることもあり心配しましたが、なんたってOCTAVEはバイアス調整が簡単に可能で、数タイプの真空管に対応するので付属管の6550もあるから大丈夫。
後々、ゆっくり聴かれたお客様からは「小編成の弦やコンチェルト系なら全然このままでイケますよ!」とコメントが。
JAZZのトリオが良いのは想定内だったようですが、「男女ともにボーカルが想像以上に良くて嬉しい誤算」。
R&Bやキューバの音楽(なんでも聴かれる!)も相性良しとのことで、古い時代のスピーカーとはいうものの、お客様にとって新しいタイプのこのEMPIREは、ここ白馬でもよい仕事をしてくれそう!
納品中に搬入されたおーおきなソファは、なんとMOROSOのもの。
なんと・・というには意味があって、弊店が5丁目にあった時代に人目を惹くデザインで、存在感を放っていたのがまさにMOROSOのソファだったのでした。
(当時の記事)
イタリア生まれのソファ、昭和な障子、アメリカのEMPIREと、繋がらないようでいて、
お客様の「眼」を通じて奏でるハーモニーが素敵な空間でした。
音楽も一役買って・・。
(竹田)