今日はひそかに入荷したJBL C38 BARONを調整しておりました。
ここ数年、JBLの小ぶりなヴィンテージ、C38 BARON、C36 VISCOUNTは、人気が上がって、弊店で今まで扱っていたレベルのものは、これまでの価格ではヴィンテージ市場で流通しなくなってしまいました。
以前弊店でとりわけ極上品であった初期のモデルをお納めした方が他のヴィンテージをお求めになるにあたり出された今回のBARON。
WEBでご案内する前からお問い合わせがあった方へご案内して今日のご試聴。
JBLのヴィンテージと相性抜群なOCTAVE V110SEとLINN AKURATE DS。OCTAVEの上位モデルは背面スイッチのゲイン切り替えとバイアス調整の組み合わせで、よりスピーカーにマッチした鳴らし方にできます。BARONの場合は、ローゲイン/ハイバイアスがベストと思われます。試しにハイゲイン/ローバイアスで鳴らすとちょっとキツめ。
私のセッティング道具はそう多くない。革とフェルト、水準器とメジャーで十分。
BARONの脚部は木製ですが、足先が金属なので絨毯の上でちょっとだけ滑る。こういう時、皮やフェルトを足の下に敷くと良い場合が多いです。
ちなみに皮はちょっと音は立つけどピーキーになります。フェルトなら高域が伸びて滑らかに。この辺は聴く音楽によりお好みで。
それから、全部の足の下に敷きたくなるところですが、これも塩梅が重要。経験値では、前か後ろかいずれかに入れる方が良いのです。
今日は後ろ足に入れたら、高さが出たのでこれで決定。ヴィンテージに限らず、現代のものでもスピーカーによって、前足のが良い時後ろ足が良い時、色々なので、なんでも試してみる!
オーディオのセッティングは、フットワークの軽さが命です。
このあたりから、微調整に入ります。左右の位置や振りなど。音の広がりや、響きを聴きながら。
昔は難しかったことにもだいぶ慣れました。もちろん、まだまだですけれど。
調整、だいぶ良い感じです。
JBLだからと言ってJAZZだけで調整はしません。
今日聞いていたのは、シャンソン、もちろんマイルス、アルペジオーネ・ソナタ、マーラーの交響曲、JPOP、そしてシナトラ。
アルペジオーネ・ソナタで、日曜日の朝にこんな幸せな音聴けてなんて贅沢…今日も頑張るで!と勢い付いた後のシナトラ、Only the Lonely。
エヴァ・ガードナーとの失恋のあとのアルバムと聞いたことがありますが、哀しみ溢れる一枚からなかの一曲。
Each Place I go
Only the Lonely go
・・・
Each Melody Recalls a love that used to be
私の体を通り抜けていく音。一語、一語言葉が重さを持って、心に訴えてくる。詩(うた)を聴く。
そうか、BARON、こういう音だったかしら。
音像はやや、ほんの若干大きいのかもしれないけれど、訴える力の強い音。
このBARONが最初に入荷した5年くらい前は機械も私もまだまだだったのかと思うのはこの後。
BARONは変わらないけれど、テクノロジーも、そして私も進化の道を辿っていると思えるのはちょっと嬉しいある日の日曜日でした。
※このBARONは、本日嫁ぎ先が決まってしまいました。