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時代の先をいく
時流に乗る
流れに逆らう
わが道を行く

モノでも人でも、未来の風と過去の影に常に晒される「今」とどう向き合うかによって「生き方」が変わってきます。

どんなにいいものでも時代に生かされなければ廃れてしまうし、
大したものでなくても時流に乗っているときは脚光を浴びる。
人にも同じことが言えるでしょう。

時代の先を行き過ぎて、手掛けた本人が浮かばれなかった話などいずれの分野でも数えきれないほどあるし、時流にのる・・というのは流行廃りがある。
流れに逆らっては生きづらい。
わが道を行くのは・・・。

いろんなときに私は「LINN」が頭に浮かんでしまう。

LP12を世に送り出した創業者で会長のアイバ―・ティーフェンブルンは「わが道を行く」人だと思う。LP12に限らず、その技術の開発の仕方、アプローチに触れるにつけ単なる変わり者の観点「流れにさからう」のではなく、自分が見出した「何か」を信じてそれを形にする。
それがスイッチング電源であったり、表面実装基板であったり、軸足はオーディオなんだけど録音現場も持つことを考えてLINN Recordsを設立したり。(今でこそ当たり前のスピーカーにスパイクを立てるというのも実はアイバ―の発見)

そのLP12が革新的にアップデートされ始めたのは、私は2009年だと思う。

それは実はDS、DSM以降のことでもある。
LINNはCDプレーヤーのドライブメカを自社で作ることまでやってデジタルの限界を見てのことだったと思うけれど、DSの発表のタイミングは今考えると素晴らしかったと思う。
まさに「時代の先をいく」ことで、当時理解されないところもあったけれど「こういうものを待っていた」という賛同も得ていて、新しいものの登場として、タイミングはこれより前でも後でもなかったと思う。そのあとまもなくしてi pod touchが誕生して拍車がかかったけれど、後から考えれば本当にベストなタイミングだった。
それをやったのが現代表のギラード・ティーフェンブルン。
アイバ―の息子、LINN2代目の社長。

ギラードは当時の携帯電話の通信技術の開発に携わって、その後LINNに戻った(入社した?)ので、外から会社を見ることもできたでしょうし、技術を持ち込むこともできたけれど、DSで成功したからと言って、LP12をないがしろにはしなかった。むしろもっと前に進めた。
だから、LP12がKEEL(サブシャーシの強化)やURIKA(内臓フォノイコライザー)以降革新的に良くなっていくのは、ギラードの代になってからなのです。
それはきっと時代性(インターネットによる情報社会、音も情報量、192/24に限らず録音のハイレゾリューション化)もあったと思うけれど、きっとLP12もあの当時のままだったら、今のように売れ続けていなかったと思う。だからLP12を時流に乗せたのはギラードだと思う。

レコードという物質を回転させるLP12と、デジタル信号をストリーミングするDS、DSM。
LP12の在り方については動かさず、DSMはどんどん時流に乗せて、当時LINNは手を出さないと言っていたUSBもDSD再生も全部やる。技術的にやれるからやるのは自信の表れにも見える。

アイバ―は「LINNのトータルのシステムで聴け」とばかりの製品展開で、私が入社した頃LINN教という言葉も聞いたし、毛嫌いする人もいた。
サウンドクリエイトはそもそも「LINNの良さをもっと知ってもらう」ために開業したところもあり、そのやり方は当時はLINN本国に逆らっている部分もあった。

LINNの精神は山のごとく動かない感じだったけれど、ギラードの代になって、DSでの「スペースオプティマイズ」が発表されたとき、私は少し衝撃を受けた。
オプティマイズに対応したスピーカーに、他社製のものが多くラインアップされているのはLINNの考え方が変わってきていることの証明だったから。それは考え方のアップデート。

動かすことと動かさないものについて、LINNという会社は気持ちが良いほどに明確に指標を持っている。
単なるオーディオなんだけれど、目の前の製品の背景にそうした精神を見出す時とてもすがすがしい心持がする。

そして、それはここ最近、完全に音になって表れてきていると強く感じる
(竹田)

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