Legato EYES

最近観た映画の中で最も響いて、最もブログで紹介しにくい2本。

ロマンチストでジェントルなお客様が大半の弊店のブログでは、観る方によっては不快に感じるシーンもあるかもしれないので、
「絶対観てね!」とは言えませんが、私的に避けて通れないので書いてみることにしてみました。

「怒り」は、サスペンスの要素もあるので、あまり内容に触れることが出来ないし、
「キャロル」は、女性同士の恋愛を扱っている・・・
でもこれらの映画を観て、サスペンスの部分とか、女性同士の恋愛について何かを話したいわけではないのです。

この2本に共通点があるように感じて、 それでLegatoブログで書きたくなったのでした。

その共通点は、「現実(リアル)を描いている」ということ。

映画の中では、当然ながら、人と人との様々なコミュニケーションが描かれます。
人と人は寄り添いもすれば対立もする。
それぞれに「立場」が生まれます。
そうしたとき、何が善で何が悪か、どちらが正しいか、
映画を作る人は、それを決めていない。
観る側にゆだねられています。
もしかすると委ねてさえいない。
問題提起の気分は感じません。

人は生きていく上で、善悪や、何が正しくて何が間違っているか、どう行動すべきか、
それを常につきつけられる。
特に今のネット社会では、多くの人の「いい」「悪い」の評価が常に、そして即座に下されます。

でも、必ずしもそれでは処理しきれない物事や、感情はたくさんあります。
グレーであることがいいとは言わないし、罪を犯すことは、絶対にしてはいけないことだと思う。

でも、人間の感情は白と黒の間に深く豊かなグラデーションがあります。
墨絵にひかれるのは、同じ理由からかもしれません。

オーディオで音楽を聴いて、見えないものを見ようと向かい合っていると、
そのグラデーションこそが、「生きている=リアル」だと感じるのです。

久々にいい映画でした。
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