お客様とお話していて、時々考えてしまうことがあります。
今日の方は、80歳のおじいちゃんで、フレッド・アステアが大好きから始まり・・・
あの映画、この映画と話が及び「晴れて今宵は」ではリタ・ヘイワースが黒いスパンコールの長いドレスで踊って綺麗だった、最初に出てくるザヴィエル・クーガのバンドが・・・
(店内のディスプレイ見て話が飛んで)
「上流社会」のサッチモがバスの中で歌う歌が好き、コール・ポーターの曲も使っていたんじゃなかったか、
コール・ポーターと言えばケーリー・グラントの「Night & Day」でポーターがピアノ弾きながら楽譜売っているときに横で歌う彼女の声質が大好きで、CDが欲しかったけどなかなかない、とかとかとかとか・・・多岐に渡る音楽と映画の話。
わたしは話しているとしょっちゅう名前だのタイトルだのを忘れてしまうのに、ものすごく明瞭に覚えていらっしゃる。
また、映画の1シーン、1シーンも細かく見ていらっしゃる。
それだけきっと強烈な印象を受けているということなのだと思います。
「これが好きなんだ」というお客様のキラキラした表情を目の当たりにすることは、ここでは本当によくあります。
そんなとき、「わたし、20年後、30年後、あんなふうに話しているかな?」と思ってしまいます。
モノも情報も大量にあって、そして簡単に取り出したり持ち歩いたり出来る今、何かを見たり聴いたりして、そこまで強烈な印象をもつことって滅多になくなってきているかも?
ものが少ない時代を過ごして「やっと、自分のものになった」という思い入れを、ある年齢より上の方は皆さん持っているような感じがして、ないものねだりのような話ですが、時々うらやましい気がするのです。
かといって、こうなってしまった今逆行する必要はないのですが、「おばあさんになった時なにをいいというのだろう、どんな風に大切にしているのだろう」と思います。
実は今日、こんな「思い入れ」を3つ4つ目の当たりにして、つい書いてしまいました。
やっぱり、ないものねだりなのでしょうか、ね・・・???