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今年5月に建て替えを控えている歌舞伎座。

今年1月からはカウントダウンに入り「歌舞伎座さよなら公演」と銘打って、人気の演目を毎月興行している模様。

 

しばらくご無沙汰だった歌舞伎ですが、2月の「籠釣瓶」は勘三郎と玉三郎という豪華な顔ぶれ。これは行かねば!と。

 

「籠釣瓶」は、花町「吉原」の話で、あばたで醜男の次郎左衛門(勘三郎)が、仕事の合間にたまたま寄った花街で花魁道中の際の花形花魁「八橋」(玉三郎)に一目ぼれしてしまう・・・この場面が本当に美しくて、歌舞伎を堪能できます!

 

その後、田舎から出てきて人のいい次郎左衛門は、一生懸命八橋のもとに通い、身請けをするまでの話になりますが、色々なたくらみや事情が錯綜し、八橋は宴の最中、皆の前でこっぴどく次郎左衛門を振ってしまいます。

 

その場は気持ちを抑えた次郎座衛門ですが、数ヵ月後、家伝の刀を携えて八橋の前に現れ・・・

という哀しいお話。(粗すぎるあらすじ・・・)

 

八橋は、花形を鼻にかけた冷淡な花魁というわけではないのですが(多分)、次郎左衛門の面目丸つぶれの、これでもかという縁切りには、事情があるからとは言え、何とかならないものかと、次郎左衛門の心中を痛ましく思います。

 

皆の前で恥をかかせた恨みと、純粋過ぎる恋心がないまぜになって、次郎左衛門の心は狂気となってしまいます。

 

この演目は、5、6回見ていますが、それぞれに少しずつ解釈が違うのか、すごく陰惨な印象になる時と、何とも言い難い哀れな悲しい話となる時と色々です。

 

前回数年前に観た時の勘三郎は、実は陰惨な方へいってしまい、あんまりでした。が、今回の勘三郎の次郎左衛門は、人間味に溢れ、やるせなさ、純粋に惚れてしまったからこそ抑えるに抑えられない感情の行き着く先が充分に表現されて、人柄の深さ、演技の幅を感じました。見応え充分でした。

 

歌舞伎座のリニューアル、「リニューアル」は一度「フィナーレ」を迎え、新しく再生しますが、役者さんにとってもこのフィナーレへの思いはひとしおなのではないでしょうか。

 

リニューアルは25年春。それまでに、3月、4月と2ヶ月まだまだ素晴らしい演目が予定されている様子。

来月の「知らざぁ言って聞かせやしょう」の弁天小僧を観劇に行く予定。にわかに歌舞伎付いております。
(竹田)

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