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★ 京都小旅行

先週火曜日、お仕事にくっつけて1日観光して参りました。銀座ではクリスマスソングが流れ始め、紅葉も終わりかけて京都からは人も減り始めていましたが、ワタクシ的には絶好のタイミング。

前の晩なんとなく頭に浮かんだのは「哲学の道歩こう」。脈絡のないそういうインスピレーションに助けられることが割と多いタチなので、それに従う。

朝起きると空は曇天だけれどなんだか元気で、哲学の道まで歩いてみる。
宿を出て、四条烏丸を抜け、寺町あたりの好きな店を横目に、二条通で折れる。ガラスのアンティークなど素敵なものが見つかるギャラリータザワはそうかここだったか、酔いどれいつか来たバーK6はここね、地図が繋がり始めたのが嬉しい。歩くっていい。

まだまだ歩く。向こうに平安神宮の大鳥居が見える。ということは、バイタボックスが聴けるやまとやはあの向こう。岡崎公園でアンティークのフリーマーケットを開催中。だけど今日は買い物という気分じゃない。不思議、こんな日が来るなんて。

永観堂に吸い込まれそうになりながらも意志は固い。

ここまで来ればあと少し。やっと着いた哲学の道の南端。しまった、ここからがまたずっと歩くんだった。既に上がらなくなってきた足。まぁまだ時間はあるし、ゆっくり行こう。

人も少なくチラホラと残っている紅葉がかえって寒々しい。でもところどころあるよ、ほら。

インスタ映えもするよほら。

だんだん寒くなる。この「今」にこじつけてでも良さを見いだそうとするわたし。でも、なんだかそれも楽しい。人も少なく車もない。このまま歩き続けたら何かきっとある。

とはいえ、さすがに歩きくたびれて法然院に寄った後に喫茶店でひとやすみ。暖をとる。思った以上に体も冷えている。喫茶店ではダイアトーンからクラシック音楽が流れている。名曲喫茶みたいに知っている曲ばかり。そのうちラフマニノフ『パガニーニの主題による変奏曲』が流れる。映画「ある日どこかで」のメインテーマ。

店内には、店主が集めたであろう好きなものたち。ブラザーのミシンやアンティークのガラスのランプ、古いカメラ。500円のコーヒー。窓の外は哲学の道。すっかり葉を落とした枯れ木、あるいは紅葉の賑わいにくたびれたかのごとく風に身を任せる黄色い葉。

ベレー帽をかぶって哲学の道を端から歩いて、何か素敵なインスピレーションを期待する私。型から入るところも他力本願も相変わらずな自分がちょっとおかしい。歩いて歩いて寒さにくたびれていたのを知ってやっと気持ちがほぐれる。何もなくてもいいじゃない。

ここからすぐの銀閣寺で、この徒歩の旅は終わりにしよう。

歩を進めながら、振り返ったり下を向いたりするうち、ここの計算し尽くされ作り込まれた自然に引き込まれていく。とても気持ちがいい。

そして外れにある弁財天さまの脇の立札に微笑む。

音楽、才智、福富の神。今日はありがとうございますとお参りして、気持ちを帰途へ向かわせつつ顔を上げたら、、、

折り重なる木々
そのそれぞれの形状、色。それによって見える奥行きと広がり、細道を通らせた先に見える景色、それは、まるでオーケストラの演奏そのもの。
十分に手の入った「自然」その存在自体も、人の手によって書かれた曲の演奏から得る感動に似ている。

なぜ弁財天さまを祀っているのかな、、という疑問が、ここで繋がった。当然オーケストラなどない室町時代だけれど、この時から持っていたんだな。何かそうしたものを。

・・・
短かったけれど、とてもいい旅、して参りました。

(竹田)

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