久々の「つれづれ日記」です。
★ 無人島からの帰還
10月中ごろから約1か月色々抱えていた仕事がひと段落ついて、久しぶりに自分の呼吸に耳を傾ける感じになる。
音楽の体に入ってきかたが全然違う。
何気ない朝の準備時間、加藤と牧野が目の前のスピーカーをセッティングしている。
向こうの部屋で白川がJBL C45を組み上げている。
セッティングでどんどんよくなるスピーカーから、流れてくるキース・ジャレットのピアノが体が緩んで目頭熱くなる。
年だなぁと思う。
久々の何もない休日を迎えて、部屋を片付けて、掃除して、植木に水をやって、白髪染めして、包丁とまな板で野菜切り刻んで、白いご飯炊いて、落ち着いたら、無人島から帰ってきたみたいな気分になった。もちろんこんなものではないことは承知ですが・・。
ジュード・ロウが出演している実在の事件を映画にした「エデン~楽園の果て」を観たからかな
★ 映画と音楽
エンニオ・モリコーネの映画を観て、「Once Upon a time in America」を観たくなる。
長い映画だから2日に分けて。何度も観ている映画だから好きなシーンは決まっていて、初体験よりケーキのクリームの甘さに負けてしまう子供らしさのおかしみと貧しさの哀しさ、子供時代のデボラがヌードルズに聴かせる雅歌。塀の中一途に思い続けたヌードルズの告白とか、色々ありますが、たった一つの望みさえ叶わないヌードルズと、そのヌードルズからすべてを奪いながら奪いきれないマックス、それぞれの業の深さが今の歳になってより深くささります。どこまでも哀しい話なのに、あくまで良い思い出として昇華されるのは、モリコーネの音楽によるところ。
ちなみに、女優になったデボラが「クレオパトラ」の主演をしているのだけれど、エリザベス・テイラーがただただ美しいだけの「クレオパトラ」が1963年興行的に失敗。Wikipediaによると、「ソドムとゴモラ」「山猫」と合わせてその3つの興行的失敗によって、イタリアの歴史劇バブルは急速に終焉・・とあります。
ヌードルズが、デボラの下を訪れるのは、禁酒法解禁の1933年から30年後の1963年頃の設定のはず。
ベイリー長官になったマックスの失墜も含めて、デボラも決して華やかなさかりでないことが、こういう小道具で演出されていたことには今回気が付きました。
この映画は構想から完成までに10年以上かかっているということだったから、細部に監督の思いや経験が宿っているのですね。
こういう奥行のある映画って、何度観ても感じ入るものがあります。

来月「映画音楽で知られるクラシック」というテーマで話すので、いくつかピックアップ。
うち、映画館で観て感激してそれきり見ていなかった「Shine」を鑑賞。
公開当時19歳。思えば「ラフマニノフ」の名を聴いたのは初めてだったと思う。
ちなみにラフマニノフに出会いなおしたのは、サウンドクリエイトに入ってからです。
映画があまりに良かったので、また観てがっかりしたらどうしようかと、再び手にできなかった1本。
やっぱり良い映画で安心したのと、ラフマニノフをこれっぽっちも知らなかった当時と今では、見える部分も少し変わっていた。
劇中でまだ10代そこそこのヘルフゴッドがラフマニノフに挑戦しようとするたびに、父親以外の周りが止めようとするのを見て、どんどんテクニックの上がるピアニストが排出される今からすると、「ラフマニノフ」が1960年ごろはそのような存在だったとは信じがたい。
今はなんでも聞ける時代ですけれど、録音の歴史、演奏の歴史を見ていくと、いろんな時代があるんですね。
★ 今日嬉しかったこと
Tannoy Corner Yorkをセッティング。
バイロン・ジャニスの弾くラフマニノフのピアノ協奏曲3番を聞いていたら、モニターレッドはこんなもんじゃないな‥と思えてきました。鳴らしているうちにまただいぶ低域が出てきたのか、横のパラゴンよりグッと前に出しました。
お、いいね。飴色レッドはこうじゃないと。(12インチ家で鳴らしています自慢)
セッティングをするときは、まず片側だけ動かして、ある程度良さそうなところが探れたら、もう片側のスピーカーを同じくらい動かします。この段階でメジャーは使いません。
左右が揃っていない段階で、右と左がどちらがより良いかを聞き分けます。
ポイントは、低域が伸びているほう。響きに違和感がない方。
オーケストラなどで合わせるとわかりやすいかもしれません。(ストリングスもボーカルも入っているシナトラはセッティングにシビアだけどわかりやすい。)
あとは周りとの環境を見ながら目視で左右の振りや前後感、違う場合は耳で聞いた良い状況の方に合わせます。
最後にメジャー。
声がぐうーーーっと前に出てきて、シナトラの説得力というか、存在の大きさが半端ない。
こうなったら何をかけても大丈夫。ラフマニノフに戻っても、サンソン・フランソワ弾くショパンのコンチェルトに戻っても、血が通った演奏になりました。
余談ですが、今日は耳と目で合わせて最後にメジャーで確認したら、左右が壁から同じ位置だったのですよ。
万歳!!!超嬉しい。
これを目指していました。精進します。
(竹田)










