店頭に立っていると、アンプのワット数やインピーダンスがどう関係するのか時々聞かれることがあります。
数値は各社出していますが、それはあくまで一つの目安。
更に、機器の軽さ、サイズによって「力がないのでは?」と思われることも時々あります(Nuprimeしかり、LINNしかり)。
アンプはワット数ではないし、重量でないのです。
重要なのは駆動力。
例え話です。
例えば非力なワタシ(ほんと?)が、スピーカーのセッティングをしているとしましょう。
スピーカーを動かそうとしますが、十分な力がないため、なかなか思い通りの細かいセッティングができません。
「あと5mm前に出して」と言われても重たいスピーカーは思い通りに動かせないのです。
そこへお相撲さんが来たとします。
力は強いですが、オーディオのセッティングを知らない彼は「動かして」と言われれば、力任せにズズーーッと後ろへ動かしてしまうでしょう。
しかし、熟練の腕と方法、ソコソコの力があれば、どんなに細かいセッティング・・「3mm下げて、そこでほんの少しだけスピーカーの角度をふって・・はい、OK!!」
ということが可能なのですね。
そんなに大層な力はいらない。だけど、どうすれば上手にものを動かせるかを知っている。
アンプの駆動力もこんなかんじでして(?)、ユニットを駆動する力がないとダメ。だけど強ければいいというものでもない。
押し出しばかりの強さでは流れてくる音楽信号に対応できなくて、奥行きは出ないし、スカスカな音楽になってしまう。
ユニットを細やかに動かす力、ユニットを止めて動かすの繰り返し、駆動力があると空間的な奥行きや広がりが出たり、臨場感、実在感が増してくるのですねぇ。
その上で、プリアンプは実際スピーカーを動かしている人たちをコントロールする指揮者。
セッティングでいうなら、真ん中に座って音を聞きながら、「はい、右もう2mm後ろ」「左の角度をほんのちょいふる!」などという人。
その制動する役割は重要で、センスとコントール能力がないと素敵な音楽になりません・・・。
プリアンプは超重要・・・。
クラシックに不慣れという方が、コンサートでオーケストラの演奏を聴いて「会社やっているようなもんだなぁ」とつぶやいていましたが、会社もオーケストラもオーディオもセッティングも全部同じかもしれません。
ややこじつけでな説明ですが、店でセッティングをしていると、いつもそんなことを思うのです。
もう少し力があれば、思い通りに動かせるんだけど・・。