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先週のミュージックバードでかけたJ.J.ジョンソンの1957年アムステルダムのライブ録音。
これに端を発して、トミー・フラナガンのOverseasを聴いております。

ちなみに、J.J.のそのアルバムは10年くらい前に買ったもの。
録音が悪いせいか、全然真剣に聞いていなかったので「J.J.ジョンソンはトロンボーン奏者」「ライブ盤」という認識しか持っていなかった・・けれどその割に聞いていた1枚。
ミュージックバードでかけるから、ある程度頭に入れておこうと、初めてライナーを読み改めてメンバーに目を遣る。(ヒドイ・・)
そこで出会ったのがトミー・フラナガンでした。

JAZZって、まあクラシック音楽もそうですけれど、プレーヤーは凄くたくさんいるし、知りたいと思ってもあまりに広大で断念しちゃうんです。
でも折角目に留まったら、ブログで取り上げるくらいには調べて聞いてみよう。
コーナー化できればお慰み。

今回取り上げたOverseasは、上に挙げたJ.Jのライブの2日前にストックホルムで収録されたもので、J.J.のヨーロッパツアー中に、どんな流れかわからないけれど、フラナガンのピアノトリオで録音する機会を得たようなのです。
しかもフラナガン初のリーダーアルバム。
メンバーは、エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)、ウィルバー・リトル(ベース)

この年、27歳のフラナガン。
この前年にはソニー・ロリンズ「Saxophone Colossus」にも参加している(あんなに聞いているアルバムなのに認識なかった自分が怖い)し、この頃、サイドマンとしていろんなアルバムに参加していて、ノリに乗っていた頃なんじゃないかしら。
ヨーロッパツアーも好調だし「なんだよお前まだリーダーアルバムないのか、せっかくだから入れとけよ」ぐらいの感じだったんだろうか。

しかし、名盤と言われているそうですが(知らなかった)、本当に演奏良いです。
9曲中6曲は自身のオリジナル。
でもまるきり小難しくなくて、オリジナル曲にしては聴きやすいし、どこかで聞いたことがあるような耳馴染みの良さがあります。
(実際誰かの演奏で彼の曲を聞いていたかもしれない)

ちなみに、このアルバムを聞こう!と思ったのはまずはジャケットの秀逸さでした。
グリーンに一面のC。

私も大概察しが悪くて嫌になるのですが、白抜きの文字「Over」の後にたくさんの「C」で、要は「Over-C(sea)-s」というダジャレ的なジャケットだったのですね。

このアルバムを録音したストックホルムに森があるから(その連想はおそらく「ノルウェイの森」に影響されている)グリーンなのかとか、
Cはハ音を表すからえーっとえーっととか、
温度を表す摂氏(C)を考案した天文学者がスウェーデン人だからか(録音した8月頃の気温調べたり)とか、
深読みしすぎて色々なことをいっぺんに知ることができました。
それにしても、色といいなんといい、知恵の効いたセンスあるジャケット。
こういうユーモアのあるインテリジェンス好きです。

そもそも「Overseas」というアルバムタイトルは、どこから来たんでしょう。
海外にてデビューアルバムを録音することになったからダジャレ的に「海外デビューだよ!」とか、「海を越えてゆけ、俺のレコード!」とか?
勝手に妄想。

手元にライナーノートがないので、全部予想で書いていますが、音楽聞いていると、すごく乗っていて、例えば海外旅行した時のような高揚感みたいなものがある。音そのものがすごくウキウキしていて、弾んでいます。とっても嬉しい!という感じ。
アルバム通して、暗さが微塵もない。

ここからはオーディオの話・・
聞いているのは自宅のオーディオ。

小気味の良いピアノのタッチは、自宅のTannoy Corner Canterburyの得意技。
12インチバスレフ、脚付きなので、いわゆる「タンノイ」の朗々としたイメージとは異なり、この感じのJAZZピアノがすごくいいんです。
TannoyのⅢLZとかもそうですが、Tannoyのこの時代のユニットで、10インチ、12インチの程よい感じはJAZZとすごく合います。
もっと言えば、OCTAVEのシングルアンプV16がその良さを引き出してくれています。
以前使っていたLEAKでは多少のトロさが逆に味わい深くて懐の大きいエリントン楽団なんかは本当に良かったけれど、音楽の疾走感とか臨場感は圧倒的にV16になってよくなったと思います。安定感が増して、どんな音楽をかけても心配ないというのもあります。

真空管は、逡巡して今また初段も出力管もヴィンテージ管のTelefunken。
出力管はクラシック音楽、JAZZポップス全般的に聞くなら、Telefunkenがバランスよく、しかし標準装備のKT120もなかなか良いです。
ヴィンテージスピーカーに強すぎる感じはない。
そこはシングルアンプだからですね、きっと。
Telefunkenの出力管をベースにすると、
初段にAmperex、Mullard、Tung-sol、RFT!?など試したところ、5-60年代JAZZを聞くには、トルクがあって中域が粘りとコシが出て、かつ抜けが良い・・というところで、今のところは初段、出力管ともにTelefunkenになりました。プレーヤーはLINN DSです。

ちなみにV16に比べると、彫りの深さなどはややあっさり・・あくまでも比べての話・・になりますが、小型とコストパフォーマンスが魅力のNuPrime IDA8はDクラスアンプなのに、かなりいい線行きます。
あっさり・・でもないですね、ならではの見せ方をしてくれます。
それがとても魅力的な音です。前のめりな音ではないですが、理知的で、でもハートに来る音。
小ぶりなヴィンテージスピーカーとの相性は最高です。(12インチ問題なくいけます)

アルニコ時代のヴィンテージスピーカーを持っている方には、だいぶ高くなってしまったけれど出来ればOCTAVE V16、それともれなくNuPrime IDA8(あるいはパワー・アンプSTA9でも可)を是非とも使っていただきたいです。最高だから!
(竹田)

NuPrimeは騙されたと思って使ってみてください。
本当に。でも、接続する機器によっては「シールド切りケーブル」を!

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