なんだかもう、聞けば聞くほど、読めば読むほど、歌詞がすごい松田聖子の「SEIKO TRAIN」。
ユーミンが呉田軽穂の名で作曲した曲ばかり集めたアルバムですが、作詞は全曲松本隆。
これが聞けば聞くほどすごいのです。聖子ちゃんの歌唱力、表現力が素晴らしいこともありますが、なにしろ歌詞が存在感にぴったり寄り添っている。
私自身はユーミンの詞もすごく好きですが、ユーミンが書いていたらこうはいかなかったんじゃないかな〜と思います。
すごいと思った歌詞の抜書き
1 「制服」
四月からは都会に
行ってしまうあなたに
打ち明けたい気持ちが・・・(ここでメロディが階段式に上がっていくところがニクイ)
でもこのままでいいの
ただのクラスメイトだから
雨にぬれたメモには
東京での住所が・・・
握りしめて泣いたの
そうこのままでいいの
ただのクラスメイトだけで
自分の思いを語っているようで、最後にちゃんと相手からの返しがある=ただの片思いじゃない。ちゃんとモテてる。
だけど、東京は遠いし現実的じゃないので、そこで諦める=清純、内気、追いかけたり、脇目もふらず新しい世界へ飛び込むわけではない。
「マドラスチェックの恋人」の
「あの時は陽気に別れたけど/何故か影をひく人ね/聞かれても電話のナンバーさえ/私 教えなかった」でも、
気になる相手にだって簡単に電話番号教えたりしない堅いところがある。
ここで、アイドル像が一つ確立。
「小麦色のマーメイド」
すねて怒るきみも可愛いよ
急にまじめ顔でつぶやく
嫌い あなたが大好きなの
嘘よ 本気よ
常夏色の風 追いかけて
あなたをつかまえて生きるの
わたし裸足のマーメイド
小麦色なの
好きよ 嫌いよ
嫌いと好きを交互に言っちゃうかわいさよ。
あるいは 表向きに「嫌い」「嘘よ」と言って、心で「あなたが大好き」「本気」と言っているのかも。
ぶりっ子と言われてもこれはカワイイ。。
かと思えば、
「Rock’n Rouge」での相手の男性像は、
グッと渋いSPORTS CARで
待たせたねとカッコつける
髪にグリース光らせて
決めてるけど絵にならない
彼女の前で不良っぽく振る舞うけど、まだ経験の少ないピュアな男の子。でもそんな彼を理解しながら優しくリード。危うさと無縁なのもアイドルとして必須項目。
君がス・ス・スキだと
急にもつれないで
時は逃げないわ
もっとスローにささやいて
PURE PURE LIPS 気持ちはYES
横断歩道 白いストライプ上
PURE PURE LIPS 待っててPLEASE
シグナル変わるまでに I WILK FALL IN LOVE
横断歩道と、白いストライプ、シグナル、、深読ですが、向こうへ渡る、白黒つける、信号が変わる。初めてのお付き合いを示唆させて、、男の子想像ふくらむ〜!
これと同じ心境の「Bon Voyage」は、初めての恋人との旅行。期待と恥じらいを、こんな数分で出せるもの他にあります?聖子ちゃんの表現力もあいまって、すごいエンターテインメントです。
「Bon Voyage」
眼もくらむほどの鉄橋を
渡って汽車は狭い山あいへ
雪どけの水がきらめいて
あなたは眩しそうに窓を見る
次の暗いトンネル
Kissのchanceだねって
そんな事をしたら今度の駅で降りるわよ…
Bon Voyage (Bon Voyage) はじめての
Bon Voyage (Bon Voyage)旅なのに何も話せない
こわいのよ 違うレールの上走る
気分なの
アリバイはうまく作れたの女同士と
ママに嘘ついて
疑いもしない顔見たら
ちょっぴり胸の隅が痛かった
でもね二人きりだと
妙によそよそしいの邪魔をする友だちいないと何故かぎこちない
なによりこれらの歌を当時30代半ばの松本隆が書いているのが、すごい。変態。うそ。天才。
想像力と言葉の使い方。
難しい言葉を使わずに、簡潔に状況を伝えるところが、詞として素晴らしいし、芯があって、優しくて、ピュアで、溌剌とした健康と若さを持った聖子ちゃん像と見事にマッチ。永遠のアイドルたる所以。
ということで、今更聖子ちゃんにハマった(多分ユーミンの曲が好きというのもあります)きっかけはPodcast「大人の音楽三昧」の次次回(2月7日アップ)有抄さんのおすすめ名盤の会でした。ぜひじっくり聴いてみてください。私が5階のシステムであんまり繰り返しかけるので、花木さんの夢に聖子ちゃんが出てきたそうです。スタッフのShigeちゃんもYoutubeでずっと追ってしまったとか笑。
(松田聖子『SEIKO TRAIN』1985年、CBS・ソニー)
(竹田)









