12月11日公開の「ノルウェイの森」映画版。
これは絶対観なくては・・・と、先日(私にしては)早々に出かけて参りました。
最近読んだ割に思い入れが強く、また思い入れを持った方も多いだろう作品なので、感想は様々でしょうが、私は「とてもよかった」です。
秋に観た「シングルマン」同様、とても丁寧な作りの映画で、大変好感を持ちました。
監督はトラン・アン・ユン。「夏至」や「青いパパイヤの香り」でご存知の方もいらっしゃるでしょうか?私は「夏至」の冒頭部を見ただけなのですが、美しい映像だなぁ、という印象を持っておりました。
話戻って「ノルウェイの森」。
映像が本当に美しいです。よくこんなところを見つけてきたなと思いますが、全て日本での撮影なんでんすよね。
風景って、生えている草や木で意外と国によって雰囲気が違ったりするので、日本でよくぞここまでぴったりの景色を探したものだ、「えらいっ」と、感心しました。
主演の俳優さん・女優さんも、キャスティングを聞いた時は「ぴったり!」と「えっ、なんか違う」というのがありましたが、彼らはスゴイ。
特に菊地凛子。しっかりとナオコを観客の私たちに定着させてしまうのです。
ちなみに、松山ケンイチはあまりにハマり役すぎて、この映画の為にいるんじゃないか、と思うくらいでしたので、驚く自分を想像していませんでした。
が、やっぱりこの人もすごい。文章の様な独特なセリフを自分の言葉にしていて想像以上に「ワタナベ」本人でした。
強いて言えば、レイコさんの存在の重要さが映画ではあまり触れられなかったことと、音楽が沢山歌われ演奏される村上作品で、そのシーンがあまりなかったことでしょうか。
でも、それまで描いていたら3時間4時間の映画になってしまうかも・・・。
いずれにせよ、すごくしっかりとした作りで「しっかりと受け止めたい」気持ちにさせる映画。
そして、観終わった後、本と同じような気持ちになりつつも、「ワタナベ」を本よりは客観的に見ている自分が居て、別の面から見たことで、より深くこの本を理解したり感じたりできる様な気がしています。
もう一度読んでみたら、また違うのかもしれない。
イメージが映像化されるのは、思い入れの強いものであればある程、ある意味こわい事ですが、今回は壊されることなく、更には、ただ「よかった」で済むことなく、ちょっと考える余白というか、余韻を残してくれたトラン・アン監督に乾杯(完敗?)!!
追伸 皆様に・・・「素敵なクリスマスを」!!
(竹田)