私がオーディオに興味を持ち始めたのは大学の頃。きっかけは傅 信行先生が解説を担当されたCD『ULTIMATE DEMONSTRATION DISC』。様々な音楽を楽しむことを前提に、曲ごとにオーディオの聴き方が解説されていました。
その頃は、まだまだオーディオ事始めで、システムもCD・プリメイン・スピーカーで20万円程度のものでしたが、同軸2WAYのスピーカーはそれなりに定位感があって楽しめていました。
そんな中、家電量販店で或るスピーカーに出会い、それが奏でるクラシックギターの音色とその容姿に一目惚れ。しかしながら当時はスピーカーに20万円以上もお金をかけることは、全くありえないことだと思っていたので、その思いは憧れのまま記憶の片隅に消えて行きました。
あれから十数年後の2月12日、彼女は再び私の前に姿を現しました。
サイドに設えられたリアルウッドを見た瞬間に私の記憶は過去とつながり、同時に興奮を呼び起こしました。音を出してみたい衝動に駆られました。
夜になり、誰もいなくなった試聴ルームで一人、彼女の音を聴いてみました。
最近好きなEUGEN CICERO TRIOの豊かなアレンジと躍動感をどこまでうまく表現できるか? 感想はSO GOOD、良いねぇーという感じでした。
さて、ただ単に良いというだけでは、基準が不明確な為、今度は同じ曲をLINN KATANで試聴。感想は正にEXCELLENT!!両者の大きな違いに少々驚きながら十数年の間に変化した自分の好みを知りました。ぼてっとしてふわっとした音から滑らかなるも凛とした音へ。過去の憧れと訣別した一日でした。
(岬)