OCTAVEの魅力のひとつは、「真空管の種類を変えられること」。
通常は真空管6550が付属しています。
先日、貴重なヴィンテージ管である、「TESLA」「RCA」のEL34をお客様からお譲りいただいたので、
さっそく試聴室でパワー使いしているOCTAVE V40SEに差し替えて聞いてみました。
まずはTESLA。
TESLAにおけるEL34の製造は1960年代初頭から始まり、チェコスロバキアが消滅する1992年をもって終了します。チェコスロバキアは、古くからガラス工芸の伝統があり、技術が高かったことから高品位に感じます。
その後、スロバキア側で元Tesla社幹部が立ち上げたのがJJ Electronic社。
大編成のオーケストラは前面に押し出される感じで、ダイナミクスに描き出されます。ピアノはしっかりとした芯を感じるタッチで輪郭がクッキリ。中低域が厚く、重心がさがって安定感を感じます。
次はRCA。
こちらはTESLAに比べると少しほぐれた柔らかみが感じられ華やかで、なにより質感が良く、女性ボーカルのしっとりとした息づかいや、クラシックの弦の響きやピアノの音色に艶やかさを感じます。
OCTAVEのアンプとの相性も良く、高域から低域までどこかが強調される感じはなくバランスが良いと思いました。
ヨーロッパとアメリカの真空管なので、とても対照的な表現と音色でした。
たとえばJAZZでも、ビルエヴァンストリオとかはRCAで聴きたいし、
キースジャレットのピアノやコルトレーンなどはTESLAで聴きたかったり。
クラシックでは、同じバイオリン協奏曲でも、ヒラリーハーンのチャイコフスキー&ヒグドン:ヴァイオリン協奏曲二長調3楽章のダイナミックな演奏にはTESLAのほうが聴きごたえがあり、バッハ:ヴァイオリン協奏曲のような空気感のある演奏はRCAのほうが、弦の響きが際立って気持ち良く感じました。
ヴィンテージ管。 。。
真空管のオレンジの明かりをみていると、もう4,50年前に当時のアンプに合わせて音楽を鳴らしていたそのものが、今この時代に現代の真空管アンプと合わせて、私たちにあらたな音楽の感動を与えてくれている、
そのことがどこか不思議にも感じながらも、心から喜ばしく思います。